知りたいものを知れることが幸せに繋がるとは限らない

「それで俺がどんなセリフからそんなことを考えたのかっていうのを言う前に聞かせてもらうが・・・お前もそうだが、新一も俺の事を探偵として見て新一の方が圧倒的に上だって思ってただろ?探偵として駄目だって言葉も軽く言えば俺なら流すだろうって思いながら言っちゃいただろうが、実際に探偵としての俺は新一の足元にも及ばない存在だってよ」
「そっ、そんなこと・・・そんな、こと・・・」
「・・・俺の気持ちを考えて否定してーって所なんだろうが、その態度で白状してるようなもんだな。ま、そんな気持ちが強かったからあぁいった事を冗談めいた本音として言えたんだろうよ。俺が新一よりクソだから俺を下に見た言葉を吐いて構わないし軽い心配の言葉を向けていいだろうってな」
「っ・・・!」
ただその言葉を告げる前にと探偵としての自分についてを新一と比較しただろう言葉を小五郎が投げ掛けると、蘭は否定したそうだったがそれが出来ずに言葉に詰まる様子を突く声を向けられ辛いと我慢するように拳を握り込んだ・・・少しでも小五郎の不興を今となっては買いたくない蘭だが平気で嘘をつけるような性分ではないし、散々動揺している今では尚更に取り繕った態度など取れなかった事・・・そしてこの世界で別れこそしたが、探偵としての新一はすごいし小五郎と比べ物にならないと思っていた部分は確かにあった為に。
「ま、そう思ってたってことを責めるつもりはねーよ。俺からすりゃもう過去の事だし、ここから離れりゃお前らとの関係は切れるんだからな・・・ただアニメを見る内にあるセリフを聞いて思ったんだよ。お前らからしたら俺は探偵として、そして人としても失敗作だったんだろうってな」
「し、失敗作って・・・そんなこと私思ってない!!」
「俺がその時に勝手に思ったことだからお前の言い分がどうかなんてことは問題じゃねー。そして俺がそう思ったセリフが何だったかって言えば・・・」



「失敗作だって見捨てられりゃ傷付くし、腹も立つんだよ・・・ってもんだ」



「っ!?」
・・・そしてそれらを踏まえた上で何のセリフからそう思ったのかについてを明かした小五郎だったが、寸前に流石に違うと強く否定した蘭はそのセリフに驚愕して言葉を失うしか無かった。端から聞くだけでもあまりにもそのセリフを発したキャラクターの酷い境遇を感じさせる物だが、そのセリフに小五郎が感じた物があった上で自分達が小五郎をそう見ていると考えたのだと知り。
「・・・お前らからすりゃ俺の事を失敗作だとか思ってないってのはそうじゃあるんだろう。けどだ・・・そのセリフを聞いた後にあの時の事を思い返すと、もう俺はお前らからしたらどう取り繕った所で失敗作じゃなくても下に見ていい存在だって風にしか思ってなかったんだろうって思ったんだよ。お前らは上で俺は下だから、別に俺の気持ちなんか考える必要はないってな・・・特に新一の立場からすれば俺の事は元の体に戻ったから使い捨ての用済みでいて目眩ましの役目を終えた存在であって、元のヘボ探偵に戻るだけだったその結果だから仕事が失敗をしても当然だし俺が心配するのもまた当然だとでもな・・・そしてお前も似たような事を思ってるだろうって考えたわけだ。そのセリフからな」
「そ・・・それ、は・・・」
「言ったろ、俺はこの事でお前を責めるつもりはないってな。ただそういったことを考えたことについてを大会でお前に会ってから今日になるまで、お前から今後も俺とまた仲良くやりたいとか仲直りしたいなんて事を言われるのはゴメンだって思ったからこの事を言ったんだよ・・・俺からすりゃもうお前らに対しての気持ちなんてないし、仲直りなんざそれこそ願い下げ以外の何物でもねーってことを伝えるためにな」
「!!」
その上でそのセリフから声色こそ平淡だが、気持ちの差から出来た深い溝を埋めようとすることすら許さないという意思を感じさせる言葉の数々に、たまらず蘭は涙をボロボロと溢れ出させてしまった・・・責めない代わりにもう小五郎は絶対に自分達を許さないと、そう否応なしに理解させられた為に。









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