知りたいものを知れることが幸せに繋がるとは限らない

「言われてようやくそういった可能性ってヤツを感じ取ったようだな。自分がそういったように行動したならどう見られるのかってのを・・・つーか新一とこっちで会った上で別れたって聞いた時は驚いたもんだが、別れたっつってもまだお前はあいつと一緒にいた時の感じを忘れられてないんだろうな」
「え・・・そ、それってどういうこと・・・?」
小五郎はその反応に理解をしたかと言いつつも、続いた意味深な言葉に蘭は戸惑いながらどういうことかと聞くとそっと目を開けて蘭を見据える。
「お前が今俺が言ったようなことを考えてこなかったのは新一とずっと一緒にいて、そういった人の目ってヤツを気にしない生き方に慣れすぎちまってた部分が大きいって思ってる。あいつが前世でどんだけの数の事件を解決してきたのかなんか覚えちゃいねーが、そんな事件の時のあいつと結構な時間一緒にいて解決する側の立場に立つことしかなかったから、今の話のように誰かが見てるとかって考えることがなかったんだろうってな」
「え・・・?」
「新一っていう探偵・・・もっと言うなら正義のヒーローの隣にいたから、余程変に振る舞わなかったら変に見られる事なんて無かったのをお前は当然の物だって思ってたんだろうって事だよ・・・今の例えはお前の方が分かるんじゃねーのか、それは?」
「っ・・・そ、それは・・・言われてみると、確かにそうだったかも・・・」
そうして真っ直ぐに蘭を見ながら小五郎は話と共に例えを口にするのだが、その例えになった時に蘭は圧を感じつつも納得したような声を漏らした。新一というヒーローと共にいたからそんなことを考えられなかったのは確かにというよう。






・・・蘭の視野の狭さは全てが全てとは言わずとも、確実にその大部分が新一が大本であると小五郎は大会で再会して以降、考えたくなかった事ではあるが前世の事を思い出しながら考えていった。小五郎としては出来るなら話を早く終わらせたいとは考えていたが、新一と別れを告げたといったそのまさかの信じがたい事実を聞いたのもあって、蘭の心中に関してを慎重に推察しないと下手な逃げ方をしたならそんな蘭がどんな風に動くか分からないから、前世と照らし合わせながら対策を取るためにと。

だがそうして考えを深めていった小五郎は確かに新一と別れを決断するだけのきっかけに経験を得られはしたのだろうが、そこまで止まりだろうという考えに至った・・・それは新一という存在に関してを心底から拒絶した自分と違い、辛うじて一緒にいてもどうしようもない事になるだけと理解してしまったから悲痛の想いを抱きながら別れを選んだだけで、その実としては新一の事を自身の事も含めて振り切りきれてないし考えられていない・・・だから自分に出会ったこともあって、それらをどうにか払拭したいというか楽になりたいんだろうと。

そういった風に考えた小五郎は自身が前世で短絡的でありこうだろうとよく考えもしないで出す癖があったことから、実際に会って話をするまでは仮説とした上でもしそうでなかったとしても自分に以降も執着されて会いに来るだとか連絡されるようなことになれば、困ることになるのは目に見えている・・・その為に仮説は仮説として一応頭の中に置いておきながらも外聞の事をメインに話を進めようと決めたのである。そしてその外聞から話を進めたのもだが、新一の事も言ったのは間違いではないと小五郎は目の前の蘭の反応から感じたのである・・・









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