知りたいものを知れることが幸せに繋がるとは限らない

「・・・確かに俺らは前世ってヤツじゃ親子だったのはそうだし、互いが互いにそうだった事に関しちゃ認識はしてるし記憶もある。だがそれで前世でそうだったからで今生で築き上げてきた全部をかなぐり捨ててしまうだとか、都合よく取りたい物だけ取って組み込みたいみたいな考えは俺には無いんだよ」
「なっ、なんで・・・!?」
「お前もそうだろうが、俺も俺でなんでこんな風になっちまったのかって思いながら生きてきた時間は結構長かった。そしてお前と違って俺は前世での知り合い、もっと言うなら英理に出会うようなことなんかなかった・・・そういった事から俺は前世の事をひきずったまま生きるのは止めようって思うのと共に、英理に対しての操を立てて小野田の家を俺の代で潰すような事もしないようにって決めて生きてきた。そしてそうしてきた結果が今の俺で周りの環境になるが、ここでもしこれからお前と出会ったことに前世の事を話すのもそうだが何よりそんなお前とまた出会えたから親子になりますなんて公言してみろ・・・お前もお前で気が狂ったのかとかって言われるのもそうだが、俺は更に加えて大学生との援交を設定を作って盛り込むばかりか家族公認の物にさせようとしてるマジのキチガイだって扱いをされるのがオチだ」
「っ!?」
そうして静かにまだ目を開けずに小五郎は自分の意思もそうだが更なるもしもの可能性についてを口にしていくと、蘭はたまらずその中身に驚愕するしかなかった。小五郎が語る自身の見られ方もだが、自分も決して良からぬ見られ方をされるということに。
「・・・お前が新一と先に出会ったってのは聞いた時は俺も驚いたが、それは別に歳が近くて独身の男と女だってんなら前世がどうこうだなんて言ったって最悪、当人同士が設定したごっこ遊びの延長で片付く。だが親子程の歳の差のついた血の繋がってない男と女・・・それも昔からの近所付き合いだとかの縁でもなけりゃ、性的な関係だから一緒にいるんだろって勘繰るのが人ってもんだ。お前からすりゃそんなつもりはないって言えるだろうが、それは端から見たらどう見えるかってことを考えてない物なんだよ」
「そ、そんな・・・」
「客観視ってヤツをしてみろよ。お前が反論したいのは自分の立場に気持ちがあるからだろうが、俺達かそれ以上の歳が離れた男と女がいて性的な事も金のやり取りもない清い関係ですなんて言ってる姿を見て、それを信じれるなんて端から見た立場として言えるか?」
「そ・・・それ、は・・・」
更に小五郎がどのように自分達の事が周りから見られるのかと客観視するように注釈をつけて言うと、蘭は言葉を詰まらせて視線をさ迷わせるしかなかった。客観視するようにと告げると共に添えられた例えの中身に関して、自分はその言葉を信じるなどと言えないというのが見て分かるとよう。






・・・蘭の性格というか本質に関して、今となっては小五郎はこういうものだという考えを持っている。基本的に蘭は客観視したならということを考えることが得意ではなく、自分がこうだと思っているんだからこれでいいという主観で動けばいいという考えでいるのだと。

それ自体は悪いとは小五郎は思っていないし、人は普通は主観で生きる物だと今なら考えられる・・・しかし蘭に関しては主観で動きすぎてるというか、端から見た客観的な視点で考えて見ようという思考がほぼないに等しいと見たのだ。言い方をよくするなら一途で、悪く言うなら多角的に物を見れない視野が狭い物の見方だと。

この物の見方という点に関しては本人の性質的な事もそうだが、これはどちらかと言えば蘭の近くにある存在が居続けた弊害があったからこそだろうと小五郎は見た。そしてその存在が何かと言えば、夫であった存在である・・・









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