死んで尚の恋が終わる時

「貴方はそう言うけれど、必要なこと以外に時間を使う気がないようにしか私には思えなかったの・・・貴方の目的がまた探偵になるって事なのは聞いているし、その為に小説を書いてお金を貯めているっていうのも聞いているわ。けれど私がこっちに来るからって貴方は自分から私の所に来るとか言い出すことも、どこかに行こうなんてデートに誘うみたいな事なんてなかったじゃない・・・」
「そ、それは・・・蘭ならその、分かってくれるだろうと思って・・・」
「そういうことを言うだろうって言うのは分かってたけれど、それ以上に今となっては嫌なのはこの世界に生まれ変わって時間が経ってる上に、これまで何回も話をしてきた筈なのに・・・事件に出会いたい事件に出会いたいって言い続けている事よ・・・」
「うっ・・・!」
続けて蘭は不満を口にして行く上でまた何が問題と思ったのかを切実でいて悲し気に言葉にし、言い分を口にしようとした新一はその中身にたまらず声を詰まらせた。






・・・今蘭が言ったが、この二ヶ月で新一の元に来る中で蘭はまた探偵になりたいという気持ちを持つのはまだいいけれど、是が非でも事件に関わりたいという考えを持つのは止めたらどうかという話を何度もしてきた。新一とこうやって再会するまでどう生きてきたかを聞いてきた上で自分も含めてという形になるけれど、事件にやたらと出会いやすいなんてことはなくなったのだからむしろそれを楽しむというか・・・前世は前世として分けて考えてはどうかと。

しかしそんなこの世界での生を楽しんできた蘭の言葉に対し、新一は言っている事は分かるけどだとか自分が事件を解決すれば不幸になる人が減るのだからそうすることにこだわるのは当然というように返したのだが・・・それが今のこの状況からだけでなく、今となっては前世も含めて正義感からでも義務感からでもなく自分が推理をしたい推理欲を満たしたいのだという気持ちが他の何より強いのだと感じてしまったのである。

一応というか以前でも事件と出会うことで推理を楽しんでいるというような見方をしたことはあったが、それでも新一の推理が無ければ事件が解決しなかったことや暴れる犯人との戦いだったり真剣な雰囲気に・・・事件を解決した時の新一の笑みにドキリと何度も何度もしてきたことから、それらの事についてを深く考えてくることはなかったのだ。新一が事件を解決することにそこに関わることは必要なことなのだと思うことで。

しかしこの事件が身の回りに起こらない世界で新一が何故自分の周りで事件が起きて解決出来ないのかと不満に近い愚痴を口にしていったことや、マンションにいる時だけでなく食事に買い物に行った会話の中で度々事件に関わり推理出来ないかみたいな執念の見える事を口にしていったのである。

・・・そんな新一に対して最初こそは蘭も慰めというか、この際だからもう事件に関わらないことや推理の事は気にしないで生きていけばいいじゃないというように言っていった。蘭としても事件や推理の関わらない新一と付き合いたいというか、その分の時間を自分との様々な時間に割いてほしいという想いがあったからだ。

しかし新一はそんな言葉を何度も受けてきても、言いたいことは分かるけれどやっぱり事件を俺が解決してこそだろうといったような言葉を返してばっかりでそれらの言葉を聞き入れなかったのである・・・そしてそういった新一の事件に関わる事への執心に、考えを変えるような様子など一切見せなかった姿がこの世界で初めて会った時から感じていた想いが爆発的に膨らんだのだ。新一に対する不審な想いが・・・









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