死んで尚の恋が終わる時
「ふぅ・・・楽しかったな・・・光太郎もこれからの事で楽しそうにしてたし・・・」
・・・そうして少し時間が経ち、蘭の住む物件についても見学が終わった所で二人は京都に帰るには遅くなるだろうことから予約していたビジネスホテルへと個室を取って別々で入った。流石にこの歳で姉弟一緒の部屋はキツいと言うことで。
そんな中でベッドに腰をかけつつ蘭はそっと微笑を浮かべながら呟いた。先程までの状況が楽しかったということを。
・・・東都ではなく東京、そして似たようなパラレルワールド。そう知った蘭はしばらくの間を混乱することになった。なんで自分が生まれ変わったことも含めてこんなことになったのかと。
だが混乱はしたもののそれで状況は変わるわけでもなかった上で、次第にそれらについて気にする理由なんかないんじゃないかと考えるようになった。これは東京という場所ではなく京都という遠く離れた場所に産まれたことに加え、石垣家での暮らしに従事する事に慣れていく中で名前なんか多少変わったくらいだし歴史が違っても今の自分に何か関わりがあるのかと思った為にだ。
故に蘭はそうして悩む期間を終えた後は石垣家に京都という環境に慣れつつ過ごしていくのだが、最初は本当に戸惑った物だった。京都の文化はまだしも方言は一応イントネーションも含めてちゃんと話せるようにはしたが、気を抜くと標準語に戻るし小さな子どもはそこに関してをなんで同じように話さないのかと言ってくるから、家族の前でも最初は京言葉で話すようにと構えていたものだ。まぁ高校に入ってからは東京の大学に行くのを兼ねてからの目標にしてたから、それに伴って標準語で話すように頑張るという名目で普通に話せるようにはしたから楽にはなったものである。
そんな風に言葉について苦労した蘭だが、親というか父との関係にも何となく波長が合いづらいという気持ちを抱いていた・・・これはこちらの父とかつての父であった小五郎との違いとして、普段から頑とした態度を取っていて自身や光太郎にこうあるようにといった考えを求めてきた事が多かったからだ。
といっても何か訴えを口にしても全く聞かない父という訳ではなくて自分だけでなく光太郎が東京の大学に行きたいと言い出した時、高校卒業と共に家業に就けと言っていた父は何度かの話し合いの説得の末に大学までならいいといったように折れてくれた。ただそこまではいいのだが、やはりそこまで頑固であるこちらの父について以前はあんなに色々とだらしなくてそれらを直してほしいと思っていた小五郎より、断然にやりにくいとしばらくの間感じていたのだ。
現に光太郎だけでなく蘭も嫁に行くんだから大学なんて行かなくていいし、嫁に行くまで働きたいなら自分のツテを頼るからそこで働けと言われたのを何とか説き伏せた物だった。勝手をするのは大学までにするからというように言う形でだ。これが小五郎だったならどんなに楽だったかと思ったくらいだ。前世ではあんなにだらしなくてちゃんとしていない父親だと思っていたのに、そのだらしなさに緩さが今となっては懐かしくなるくらいに。
・・・ちなみに前世で小五郎がそんな風に蘭に素を見せていたのは、新一共々に軽いノリで小五郎からすれば酷い言葉を向けられた時までだ。それ以降は自分の元からいなくなるなら金の無心や分かりやすい非行さえしなければ、むしろ自分に関心を持たずに勝手に行動してろと思われてただけなのであって、厳しく言おうという気すら無くなっていただけなのである。もう娘として愛情を向けることなんて出来ないと見る形でだ。
ただそんな小五郎の内心を知らずに生きてきた蘭はこちらでの父親との波長の合わなさを感じてはいたが、それでも悪い人ではないということに加えて光太郎の存在もあったからうまく付き合えるようになった上で、東京行きを勝ち取れたのである。自身の中にある想いを達成させるために・・・
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・・・そうして少し時間が経ち、蘭の住む物件についても見学が終わった所で二人は京都に帰るには遅くなるだろうことから予約していたビジネスホテルへと個室を取って別々で入った。流石にこの歳で姉弟一緒の部屋はキツいと言うことで。
そんな中でベッドに腰をかけつつ蘭はそっと微笑を浮かべながら呟いた。先程までの状況が楽しかったということを。
・・・東都ではなく東京、そして似たようなパラレルワールド。そう知った蘭はしばらくの間を混乱することになった。なんで自分が生まれ変わったことも含めてこんなことになったのかと。
だが混乱はしたもののそれで状況は変わるわけでもなかった上で、次第にそれらについて気にする理由なんかないんじゃないかと考えるようになった。これは東京という場所ではなく京都という遠く離れた場所に産まれたことに加え、石垣家での暮らしに従事する事に慣れていく中で名前なんか多少変わったくらいだし歴史が違っても今の自分に何か関わりがあるのかと思った為にだ。
故に蘭はそうして悩む期間を終えた後は石垣家に京都という環境に慣れつつ過ごしていくのだが、最初は本当に戸惑った物だった。京都の文化はまだしも方言は一応イントネーションも含めてちゃんと話せるようにはしたが、気を抜くと標準語に戻るし小さな子どもはそこに関してをなんで同じように話さないのかと言ってくるから、家族の前でも最初は京言葉で話すようにと構えていたものだ。まぁ高校に入ってからは東京の大学に行くのを兼ねてからの目標にしてたから、それに伴って標準語で話すように頑張るという名目で普通に話せるようにはしたから楽にはなったものである。
そんな風に言葉について苦労した蘭だが、親というか父との関係にも何となく波長が合いづらいという気持ちを抱いていた・・・これはこちらの父とかつての父であった小五郎との違いとして、普段から頑とした態度を取っていて自身や光太郎にこうあるようにといった考えを求めてきた事が多かったからだ。
といっても何か訴えを口にしても全く聞かない父という訳ではなくて自分だけでなく光太郎が東京の大学に行きたいと言い出した時、高校卒業と共に家業に就けと言っていた父は何度かの話し合いの説得の末に大学までならいいといったように折れてくれた。ただそこまではいいのだが、やはりそこまで頑固であるこちらの父について以前はあんなに色々とだらしなくてそれらを直してほしいと思っていた小五郎より、断然にやりにくいとしばらくの間感じていたのだ。
現に光太郎だけでなく蘭も嫁に行くんだから大学なんて行かなくていいし、嫁に行くまで働きたいなら自分のツテを頼るからそこで働けと言われたのを何とか説き伏せた物だった。勝手をするのは大学までにするからというように言う形でだ。これが小五郎だったならどんなに楽だったかと思ったくらいだ。前世ではあんなにだらしなくてちゃんとしていない父親だと思っていたのに、そのだらしなさに緩さが今となっては懐かしくなるくらいに。
・・・ちなみに前世で小五郎がそんな風に蘭に素を見せていたのは、新一共々に軽いノリで小五郎からすれば酷い言葉を向けられた時までだ。それ以降は自分の元からいなくなるなら金の無心や分かりやすい非行さえしなければ、むしろ自分に関心を持たずに勝手に行動してろと思われてただけなのであって、厳しく言おうという気すら無くなっていただけなのである。もう娘として愛情を向けることなんて出来ないと見る形でだ。
ただそんな小五郎の内心を知らずに生きてきた蘭はこちらでの父親との波長の合わなさを感じてはいたが、それでも悪い人ではないということに加えて光太郎の存在もあったからうまく付き合えるようになった上で、東京行きを勝ち取れたのである。自身の中にある想いを達成させるために・・・
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