犯罪者だった男は探偵と自称する少年を何と見るか?

「・・・ま、新一や父さん達に関わるのも高校を卒業するまでです。そして今回はもう犯罪コーディネーターになるつもりも犯罪者となるつもりもありませんから、早くマジシャンとして成功して腰を落ち着ける事のない生活に入りたいですね・・・」
しかしそういった冷めた様子をしまいつつ遥一はそう遠くない未来に思いを馳せるように遠くを見詰める。自分がこの家から離れて動き、成功する未来を。






・・・犯罪者となるつもりも犯罪コーディネーターとなるつもりもないと言った遥一だが、これはある意味当然というか必然だった。前世で犯罪者となる道を選んだのは生き別れの母を殺されたと分かったからであって始めから犯罪者となる予定などなかったし、犯罪コーディネーターになるのは先程申し上げたような理由でそうなるなど有り得る筈がないと見たのだ。

だからこそ今生では遥一は前世ではもう叶わぬ夢となってしまったマジシャンとなった上で、工藤家との関係を出来る限りは繋がらないようにとコントロールして頑張るつもりでいる。そしてその入口としてもう高校を出たら工藤の家から出るように推し進める予定であって、そこをクリアしたら後は家には出来る限りの言い訳をつけて戻らないし上で仕事が忙しいようにして、会いに来ても会える時間も出来る限り削る予定である。

・・・前世での遥一と対峙した金田一を始めとした者が知ったなら驚きを禁じ得ない考え方だろうが、それくらいには遥一からしたならもう新一達と関わるのは拒否したいことであって犯罪に関わることはこの世界では拒否したいことになったのである。故にこそ遥一は徹底して小さくなった新一の事を拒否していったのであり、言葉にこそはしていないが戻ってこなくてもいいとまでは言わずとも、出来るなら高校を卒業して家を出るまでは体は戻らなくてもいいし留年してもらっても全然構わないと思っているのである。新一達と関わる時間など出来る限り無いようになってほしいと思って・・・


















・・・それで以降は遥一は主に蘭に対して新一の事を誤魔化すことが出来た上で、以降の時間を穏やかに過ごすことが出来た。まぁそれらで人前で露骨に安堵した様子を見せたことはないが、そんなことはおくびにも見せずに今後も過ごしていくだろう・・・かつて悪名を轟かせて信望者までいた犯罪者であったが、今生では新一達のおかげで皮肉にも犯罪者にならない道を選んだことなど当人以外に知るよしもなく・・・









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