犯罪者だった男は探偵と自称する少年を何と見るか?

「普通の探偵は今言ったように謎を解くことが普通の仕事というわけではありません。ただ新一はそんな風には思わず謎を解いて事件を解決することが役割と思っているだろうとも今言いましたが、それは役割であると共に本人は確実に否定すると思いますが喜びだと感じているのは私から見たら確実だと見ています。謎がありそれらを解決出来るのは楽しい、と」
「・・・事件があって謎があることを望んでいる事なのに、そうだとは認めないっていうのは外聞があるからかしら?」
「外聞もあるとは思いますが、楽しみになんてしていないし事件には真摯に向き合っていると新一は考えているからですが・・・端から見た事件の謎が解けたと思われた時の笑みは、私から言わせればとても事件が解決出来るから嬉しいといった笑みではなく謎を解けた事が嬉しいといった笑みにしか見えないんですよ。無論本人に聞かせたら怒りながら反論してくるのは目に見えてますからそう言ったことはありませんし、本人としての言い訳は事件の解決が出来るならいいじゃねーかか、仮にそう見えたにしても俺からしたならこの事件を解決出来るっていう喜びだといったような言葉が返ってくると思いますけどね」
「・・・本人は絶対にそれを認めようとしないというのだろうけど、そこまでして謎を解く事を楽しんでいるとは認めようとしないのは自身の醜聞に加えてプライドがあるからということなのね。そんなことで喜んでいると認めたら、探偵として望ましくないからということでね」
「えぇ。そういった話を認めはしないだろう光景が見えたからこそ私はそういった事を言うことはしませんでした・・・ここで家族ならそういったことを咎めるべきだといったようなことを言いたい気持ちになるのは置いておいてください。本題はここからですからね」
そうして遥一がいかに新一を見てきたかに考えてきたのかを話していき、少女も話を理解していく中で言いたいことは置いておくようにといったように言った上で本題だと告げる。
「そんな風にして諫言などを私だけでなく両親に周りから送られずに自分から求めてか求められてかはともかく、新一は謎や謎を伴った事件を解決してきました。そしてそういったように動いてきた新一は最早自分という探偵はこうあるべきだという考えを変えることなど出来ない領域にいると共に、これもまた本人に言えば否定を返すでしょうが・・・事件の謎がないことは最早自分の人生にとって有り得ないことだといったような考えを持っているだろうことにも繋がっていると私は見ています。そこに事件によって犠牲になった誰かがいるであったり、悲しみや絶望といった気持ちを抱く誰かがいることには同情はするけれど、その事件が終わればそれまでだから・・・いえ、自分が事件を解決したんだから後はもううまくいくだろうと勝手に思い込む形でね」
「・・・後はうまくいくって勝手に思い込むって・・・」
「前に何度か聞いたことがあるんですよ。事件を解決したことを世間話のように話し掛けてくる新一に、なら前に解決したと話したあの事件の人達の事については聞いているのかといったような話を。ただそういったように質問をしても新聞や人伝に知ったみたいなことは話はしても、そういった情報が入ってきてない人物達に関してはよく知らないといったような返ししかされませんでした・・・それで後で個人的に調べてみればそういった話が出てこない方々に関しては、一例を挙げるなら事件が解決したことによりドロドロの人間関係が現れたことで家族散り散りになって行方が知れなくなった方もいたんですよ」
「なっ・・・!?」
「あくまで一例ですが、事件が終わった後にこういった方々がいたのは私の調べでは確かです」
遥一がそこから新一が解決した事件の関係者についてを前置きを置いた上で話していくのだが、その中身に少女は驚愕に絶句した。一例と言われたことだけを聞いても家族散り散りの行方知れずなどというあまりにも重いその後についてを聞いたことに。









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