犯罪者だった男は探偵と自称する少年を何と見るか?

「・・・それで、どうしますか?」
「・・・貴方のお父さんに連絡を取ってもらって、迎えが来るまで待つことを選ぶわ。私には他に頼れるところはないし、下手に外に出て誰かに迷惑をかけるのも私の望むところではないもの・・・だから迎えが来るまでは世話になるわ」
それでそこまで来てどうするかを尋ねる遥一に、少女は申し訳なさそうにしながらもここで待たせてもらうと頭を下げた。
「そう言っていただけて助かります・・・取り敢えず私は今から父さんに連絡をした上で、貴女の着れそうな服をいくつか見繕って買ってきます。暖房はつけておきますしまだ体力も戻ってないでしょうから、しばらくここで休んでいてください。私がいない間は誰かが来るような事になられても困りますから、飲み物は置いていきますので電気を点けずにゆっくりと眠る形で体力を取り戻すようにね」
「分かったわ。そこまでしてくれるのに貴方に迷惑はかけられないもの」
その返事に満足そうに笑みを浮かべつつ以降の流れとお願いを口にする遥一に、少女もまたすぐに頷き返した。下手な行動を取ることはしないと。


















・・・それでその後遥一は優作に連絡を取って事情を説明した上で新一のいる所への橋渡し及び、新一は抜きにした迎えを服を買ってきて少し落ち着いてもらうまでの余裕を持ってもらうため、明日の夜以降に内密に寄越せるようにしてほしいと電話をかけた。

その中身に関して優作はほとんどの事に関しては納得する中で何故新一は来ないようにと言うのかと聞くが、自分が新一と表向きは無関係でいようとするその気持ちを考えずに色々とすっ飛ばした発言をされるのを避けるためだと答えた。一例だけ挙げても今の自分はここにいてこんな風になってると、今受け入れている所からして言われたくないだろう情報を家族だからという理由であっさりばらしかねない可能性を感じたからと。

そんな返しに電話越しにでも引いた声を漏らしながらも優作はそういうことならちゃんと伝えるように言うと言い、電話を切った後に遥一は少女に飲み物を渡した後で買い物に出掛けた。自身で使うものも併せて、色々と買いに行く形でだ。

そうしてしばらくの時間を買い物に使って遥一は工藤家に戻り、少女の元に顔を出してボーイッシュで済ませられるような服と下着を渡して部屋を後にした。もう今日は時間も大分経っている上で自分も寝たいし、明日の夜以降に迎えが来れるようにと頼んだから一先ずもうこれで終わりにすると。

そうして遥一もやることをやり終えて就寝して一晩が明け、朝になった所でリビングに顔を出すと買ってきた服に身を包んだ少女が起床していたために軽い挨拶を交わした後に朝食を用意し、共に食事をした。






「・・・今日の夜に早ければ迎えが来るのね」
「えぇ。まぁ新一がそこにいることから余程の事がなければ手荒な事はされないと思いますし、自由こそないとは思いますが一先ずは安心出来ると思いますよ」
・・・そうして朝食も終わって改まって二人で対面式に向き合って会話をしていくのだが、少女はそこで表情を固くする。
「どうしました?」
「・・・世話になるどころか迷惑をかけている身で言っていいことではないのは承知しているけれど、昨日の夜から考えてたの・・・貴方が慎重に行動しているっていうのもそうだし、その慎重さが理屈として間違っていないことも分かるわ。けれどなんというかここまで来ると貴方のその冷静さに慎重さが話に聞く工藤新一君に貴方のお父さん達と一線を画しているように感じるのよ。貴方の家族はその冷静さを悪くないというように感じているのだろうけれど、何かその徹底した様子は家族に対して気を許していないというか越えさせる気のない線を引いているんじゃないのかとね」
「・・・成程、貴女はそう感じたのですか・・・」
遥一もその様子に何事かと問い掛けるが、申し訳なさそうにしながらも少女が自分が感じていた印象に関しての言葉に、少し何かを思う様子を浮かべながら目を閉じた。










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