犯罪者だった男は探偵と自称する少年を何と見るか?

・・・そういったことについて、考えれば考えるほどに遥一は気持ちが落ち込んでいくのを感じていた。一応というか遥一も事件に用いられたトリックはどんなものであるかと、それらを解き明かすだけの能力はあることはある。

しかしそれらに関しては決して血を分けた家族三人にも誰にも明かしていないし、そんなそぶりすら見せたことのない秘密の事なのだ。なのにそれで新一の為に望んでもいない組織だって動いているだろう男達を、いつどうやって終結になるかが分からない活動の為・・・早く見て今年中だが遅く見たなら下手をすれば何年も解決に時間がかかるような物と予測がつく物の為に、これからの自分の人生を費やすなど遥一からすればまっぴらゴメンであった。

特に今の遥一は高校三年という時期であって進路も既に自分自身でどうするかを決めているのに、その為に時間を使えば後の人生設計に多大に影響を受けるのは明白であった。幼くなった新一の事を誤魔化しながらもその上で奴等を追いたいとずっと言ってきて、その過程の中でその男達もだが関係のない事件も発生して多大に時間を取られてまた自由に使える時間が削られる事は。

故にこそ遥一は一人で考えた上で、先程のような形で話を通したのである。さも自分も協力するといったように言ったがあくまでも新一がいなくなったことを誤魔化すだけであり、肝心の新一自体を自分から遠ざけること及び下手には帰れない場所に向かわせてどこの誰とも知らない存在に押し付けさせることで、必要最小限の犠牲に抑えようと・・・



















・・・そういったように遥一が新一達を追い出すことに成功して安堵した翌日、優作からの電話が入ってきた。何でも優作が昨日の内に話した中身を要約すれば新一をどうするかに関しては新一自身の希望もあるが、やはり小さくなった体で『工藤新一』と名乗ることも国外に出るパスポートも使えないということから、日本の中で自分が最も頼れるツテに連絡して新一を受け入れてもらうようにするようにしたというものだった・・・そしてそのツテが誰なのかに関しては優作はハッキリとは言葉にはしなかったが、日本という場である事を考えれば警察の上の方に公安辺りだろうと遥一は想像は容易に出来た。

ただここで下手に日本にいるのだからと軽く帰省するくらいの感覚で家に帰ってくる可能性に関してを潰すため、優作には新一にちゃんと体が元に戻るまでは家に戻ってこないように厳命するようにと遥一は頼み込んだ。これは当然だが小さい頃の新一そのままの子どもが頻繁に出入りすれば蘭や阿笠に見付かって様々に面倒な可能性があるから、外で新一を見掛けても自分は他人のフリをするから新一にもそうした距離感を保つことを徹底するように言ってほしいと。

そういった言葉に優作も納得した上でちゃんと言い含めると告げ、ツテに連絡して事を進められたならまた連絡するからと言って電話が切れ・・・数日後に再び連絡が来て無事に済んだことを報告を受けた遥一は、電話が終わった後に安堵の笑みを浮かべた物だった。これで可能性は無くなった訳ではないにしても、格段に新一と関わる可能性を減らせたことに。


















・・・そうしてしばらくの時間をゆっくりと一人で快適に過ごすことが出来た遥一だが、とある雨の日に買い出しに行かないといけないからと家を出るのだが・・・工藤家の門の前でやたら身丈に見合ってない服を着た小学生低学年程度の茶髪の女の子が玄関先で倒れていたのを見付けた時、即座に面倒さを感じながらも仕方無いと首を横に振って女の子の体を抱き上げて工藤家の中へと引き返した。このままここに女の子を放置してもいい結果になると思えなかった為に。









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