犯罪者だった男は探偵と自称する少年を何と見るか?

『・・・新一がそんなことに・・・』
「はい。ですから仕事があるのは分かっていますが、出来る限りすぐに家に帰ってきてください。一応数日は大人しくはしてくれるかもしれませんが新一の性格上、一週間を越えるような事になれば自分でその男達を追うと言い出すのは目に見えていますし、蘭や阿笠博士といった身近な面々が今の新一の事を知ればもしものことが起こりかねません。特に蘭に関してはいつ新一が戻ってくるかと何度も顔を出しに来るいうこともですが、下手に事情を説明した場合に新一を助けないとと思って独自に動いて新一を小さくした男達に生存がバレる可能性もありますからね」
『っ・・・蘭ちゃんの性格を考えれば新一の事を聞いたらどうにかと動くだろうから、阿笠博士などの事も含めて早く新一の事に対応しないと色々とまずいということか・・・分かった。仕事はあるが、この後すぐに日本に戻る用意をしよう』
「ありがとうございます」
・・・それで父である優作に電話を掛けて一通り説明した上で何が起き得るかも併せて話終わった遥一に対し、電話越しにでも重いと分かる声で戻ると言ってきた優作に礼を述べる。
『それは構わないが・・・新一はどういったような考えになると思う?その男達に対して・・・』
「絶対にその男達を自分の手で捕まえたいと言うでしょうね。そして捕まえた上で元の体に戻るためにその薬かデータを手に入れ、どうにかならないかとなるのは目に見えていますが・・・この辺りに関しては本人を交えて話しましょう。新一に聞かせなければ意味がない話ですし、何より私からしたならこうして話している一分一秒が惜しい」
『なるべく早く私達に戻ってきてほしいから、早く話を切り上げたいか・・・分かった。もう電話を切ってすぐに帰る支度をしよう』
「すみません、ではまた」
『あぁ、ではな』
それで優作は新一についてを深く聞いていこうとしてきて遥一は答えを返していくが、早く話を終わらせたいと示すその中身にすぐに帰るから切ると告げたことに礼を返すと優作は電話を切った・・・そして遥一は電話を耳から離し、その電話を冷めた瞳で見詰める。
「・・・急いで来てもらわねば困るのは確かですが、先に話をした場合色々と困ることになりかねないんですよ・・・主に私にとってね・・・」
更に遥一は冷たい声色で一人言を呟いていく。優作に話をしたなら自分にとって都合が悪くなる未来が見えると、信頼の欠片もあるはずないという様子で・・・


















・・・それから三日間の間、新一に関しては高校には欠席という連絡をした上で自分がいない時は夜も電気を点けることなく過ごすようにと遥一は言い含め、表向きには遥一以外工藤家には誰もいないといった体裁を保ちながら時間を過ごしていった。それで隣人である阿笠にも新一の事を黙っている事が出来たまま三日間を過ごし、両親二人が工藤家に帰ってきた。



「・・・本当に貴方、新ちゃんなのね・・・」
「あぁ、母さん・・・」
・・・工藤家のリビングにて、集まった四人。
そこで小さくなった新一の姿に母として信じられないという様子を見せる有希子に、新一も力なく頷くしかなかった。否定したい現実だが、これは紛れもない現実なのだと。
「・・・すみません。母さんの気持ちはこの数日を共に過ごしましたから私も分かりますが、これから新一の事でどうするかに関してを話し合いましょう。この数日は一応新一の事は隠し通せましたが、今日にまた蘭が新一は帰ってきてないのかと聞いてきた為、もう今日明日の内に新一の事をどうにかしなければ蘭は近い内にまたここに来ると思いますからね」
「マジかよ・・・」
「確かにそう聞くと遥一だけでどうにか誤魔化すには難しい段階に来ているようだな・・・」
だがそこに水をさすように遥一が告げた言葉の数々に、新一だけでなく優作も深刻だというように表情を歪める。蘭のことがこれだけ重荷になると認めざるを得ないというように。









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