犯罪者だった男は探偵と自称する少年を何と見るか?

「・・・私も昨日から新一が帰ってきてないことは確認しています。ただ彼の事ですから、少しすればひょっこりと家に戻ってくると思いますよ。前に彼は休日の際に事件の匂いでも嗅ぎ付けてそれを解決するまで連絡もせず、帰ってこなかったなんてことは何回かありましたからね」
「・・・そんなことがあったんですか?」
「えぇ。貴女が何か部活の合宿だったりで新一と関われない時に、何回かそういうことがあったんですよ。そしてやることをやり終わったら平然とした顔で帰ってくるなんてことはザラにありましたから、私は然程心配していませんし最初の頃は色々言っていましたが暖簾に腕押しでしたからね。だから新一が戻れば私から連絡するか新一に連絡させますので、心配せずに今日は帰ってください。ね?」
「・・・分かりました。そういうことなら・・・」
それで遥一がどういった対応を取ったかと言えば、自然に微笑を浮かべながら心配せずに帰るようにというものだ・・・話の中身として嘘が多大に入っている(嘘は遥一が新一の心配など表面上でも一回もしたことはない事。これに関して新一側は自分を信頼してくれてるからだと勝手に思っている為、明らかになったことはない)のはともかくとしてである。
ただそんな嘘を平然と家族として大丈夫と微笑を浮かべながら告げたことで、蘭も遥一という兄の言葉ならというように仕方無いと頷いて頭を下げてから踵を返していった。






「・・・済まねぇ、遥一・・・蘭が来ることになるなんて思ってなかった・・・」
「謝罪は受け取りますが、今回はたまたまうまくいっただけです。精々あれで時間を稼げるのは数日といった所でしょう・・・それまでに貴方の体についてをどうにかするか、ここから適当に離れるのは当然だと思えるような言い訳を考えて離れなければまた彼女がここに来るといったように繰り返されていき、貴方の事を誤魔化しようがない時はいずれ必ず訪れますよ」
「くそ・・・否定出来ねぇ・・・」
・・・それで玄関から蘭が出ていって気配が消えたのを見計らったように子供用の服に着替えた新一が物陰から申し訳なさそうに現れるのだが、以降に起き得る事を淡々と言葉にしていくと苦そうな顔を浮かばせるしかなかった。蘭に関して言われたことをそんなことないと否定出来る理由がないと。
「・・・取り敢えず今日はこの後父さん達に連絡を取り、すぐにでも日本に戻ってきてもらうようにと話をします。貴方は父さん達が戻ってくるまでの間は家から出ないように生活をしてください。今の貴方の体では色々と出来ることに限りがあるというのもそうですが、自分はこんな姿になっても工藤新一だなどと誰かに言うような事を今の貴方は誰彼にと信じてもらうために言いかねない可能性を感じました・・・言いたいことはあるかもしれませんが、父さん達が戻ってくるまでは自分は冷静だと強がりを言うのではなく、本当に冷静になるために時間を取るべきだというように考えてください。いいですね?」
「っ・・・確かにちょっと冷静にはならないといけねーか・・・分かった、そうする・・・」
そして続けざまに両親達が来るまで待つように言い含める遥一に、新一は反論したげではあったが仕方無いと頷くしかなかった。それこそ自分は冷静だと口にしようものなら逆説的に冷静ではないと認めるようなものだと思い、そうするしかないと。


















・・・そうして新一にはゆっくり休むようにと言って部屋に押し込んだ後、遥一は外国で暮らす父達へと電話をした。









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