犯罪者だった男は探偵と自称する少年を何と見るか?

・・・かつて犯罪者として追われる身となりながら、犯罪者の犯罪のトリックを提供するという犯罪コーディネーターとしても名を馳せた男・・・高遠遥一。そんな高遠も人間であったことから、その生涯を終える瞬間が訪れることになった。

だがそんな高遠は転生という形、それも平行世界という元いた所とは異なる似て非なる世界の工藤家の長男として生まれ変わる事になった・・・前世では母親はまだしもろくにいい思い出をくれることのなかった父親よりも、今生での両親に弟との関係の方が比べられないほどに煩わしいと思う形で・・・


















・・・それはとある雨の降る日の出来事だった。



「・・・貴方、本当に新一なんですね・・・」
「分かってくれたか、遥一・・・」
・・・工藤家の玄関にて。部屋着ではあるもののカジュアルな服に身を包む遥一がチャイムが鳴ったことに誰が来たかを確認しに行くと、そこにいたのは頭に包帯を巻いた小学生低学年程度の子どもであり自分は小さくなった新一だと言ってきたのだ。
そんな子どもの様子に最初は信じられないといった様子だった遥一だが、話を聞いていくにつれて新一当人でしか知らない遥一の事を話してきたことで理解せざるを得ないと頭を抱え、新一もまた疲れたとばかりに頭を下げた。
「・・・取り敢えず中に入ってお風呂に行ってください。お風呂なら私が入ろうと思って沸かしていますから、適当な服を見付けてくるまでは身体を暖めてください。もっと詳しい話に関しては服を見付けてから風呂場でお聞きします」
「分かった、済まない・・・」
遥一はそこで一先ずと中に風呂に入ることを提案し、新一はすぐに力なく頷く。傘もなく雨の中を濡れてきたのもだが、今の新一は小さくされた事からブカブカの服を仕方無く着ている為に服が無ければどうしようもないと。
(さて・・・面倒ですが、ここで対応を誤るわけにはいきませんね・・・今後の私の為にも・・・)
ただそうして冷静に努めているように見せる遥一だが、その内心の声は冷静ではなく冷酷な響きだった。新一に対して何の気持ちもないというよう。


















・・・そうして新一を風呂に入れて小さくされたその体に合う服を探してきた遥一は、脱衣場から浴槽の湯に浸かる新一から深く話を聞いていった。それで十分に体が暖まったということから新一は風呂から上がると切り出し、遥一はならと居間に戻ることにした。



「・・・ねぇ遥一さん。新一は帰ってきてないんですか?」
「・・・(面倒ですね・・・蘭がここで現れるとは・・・)」
・・・だがそうしようとした時に玄関のチャイムが鳴ったことに遥一は対応の為に玄関に向かったのだが、そこにいたのは新一が小さくされる直前まで共にいたというか、有り体に言うならばデートしていた幼馴染みの蘭であった。
そんな蘭は昨日から連絡も何もないままに離れた新一の安否を心配して工藤家に来たのだが、遥一は沈黙をしつつもハッキリと面倒さを感じていた。蘭が来ることを考えてなかったのもあるが、この目の前の蘭の様子から簡単に引くとは思えないのが一目で分かることに。









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