親の背に子が倣うか?
・・・それでそういったやり取りを経て、しばらくした後に綱吉達は草壁から恭弥と新一達夫婦についての追加報告を受けた。何でも新一達というか蘭が園子や英理達にどうにか恭弥を懲らしめるようにしてほしいと話が行ったが、それを拒否されたことから恭弥が頭を下げてくるまで絶縁だというようなメールが送られてきたと。
だが今の恭弥は既に大人であって工藤の家からはもう出ている身であることに加え、仕返しの仕方が完全に大人がやるような物とは到底言えない子ども染みた物だった為、恭弥もらしくなく草壁に呆れたようにこういったメールが来たんだけど・・・と話し掛けてきたことから、その事実を知ったのだという。
その話に綱吉達も同じように呆れるしかなかったし、どれだけ蘭が大人になりきれていないのかを実感した。そしてそんな蘭を妻として制御しきれないこともあるが、成長もさせることが出来ない新一も結局は大人として中身は成長していないのだろうとも考えた。
ただそんなことをしても恭弥に効果がないのは分かりきった事であるというか、むしろどうぞという所だろう。何せ新一と親子で協力など散々した話から望む事など一切ないどころか、協力してやるからと言い出される事もなくなるのだ。そういった煩わしさから解放されるというのは恭弥に風紀財団からしたなら願ったり叶ったりといった所である。
・・・ただ綱吉達は草壁も交えた話をそこで終わらせず、新一にも話をいかせた。あまりにも蘭の言うことを聞きすぎているというか、止める気配が無さすぎではないかと。しかし草壁は綱吉達にこう返した・・・新一も気持ち的には恭弥にやり返したいという思いがあることもあるが、単純な話として蘭も含めて大人になりきれていないのだと。
どういうことかと草壁に聞いた綱吉達だが、話に聞く限りでは小学生になる前から事件や謎に出会い解決してきてそれらを続けてきてそれを止める事なく生きてきた新一は、自分が正しいと信じて生きることに疑いを持たないままに歳を重ねていき・・・自信と知識を重ねたことで、新一自身もそんな新一を盲目的に愛する蘭も自分が立派な大人だと錯覚しているのだと。
しかし今生でも恭弥と近くて最も付き合いの長い位置にいる草壁からしたなら、そんな二人が大人としてまともでないと判断するのは当然であった。というかそもそもの話として言うなら恭弥が中学生になってしっかりしているからと見て、自分達の親が新一なら大丈夫と見て家にろくに帰らないまま過ごすというやり方をより踏み込んだ状態で踏襲したこと自体、草壁も有り得ないと思うしかなかったのだ。
この辺りの事を考えるだけでも新一達夫妻に新一の側の祖父母がいかに問題であったかもそうだが、そもそも調べるだけでも億劫になりそうな数の事件に出会ってきた筈の新一達が育児放棄や家にろくにいないような毒親に対してか、毒親が起こした事件に出会ってこなかった事もまた異常だった。優に百どころか千すら越えるような数の事件を解決してきたのにだ。
ただそこでもしそんな事件が起こったとしても、新一達が自分達はこんなことにはならないだろうと見ていただろうし、自分の環境が間違った物だったと思うことはなかっただろう・・・何故なら自分達はこうして正しくあるのだからと、自分達の事を疑わないからだ。
だがそれは言ってみれば新一の祖父母というか、祖父が売れっ子小説家であって金持ちであったことが何よりの理由だ。というより金持ちでなければ祖父母や新一達がやった事は、完全に自分達がやりたいことをやるために子どもなんか知ったことではないと育児放棄しているものだと見られても全くおかしくない行動だった。
そうでなければ流石に新一もいくらなんでも我慢出来ないとなっていただろうし、恭弥も恭弥でその祖父母より渡されている金が中学の頃の自分の生活費だと知っていた。この辺りは探偵として動き回る経費などはちゃんともらってはいるが、探偵としての仕事を優先して蘭共々一つ所に留まらない生活をすることを自分稼いだ金でやりたいということに、それを知った祖父母がなら恭弥の生活費は自分達が出すとしたからである。自分達の孫なのであるし、新一の活動を補佐するという意味で恭弥の生活費を出すのは当然だろうと。
・・・だがそれがいかに金持ちの発想であり、例え金を持っていても自分達の思うような子どもに育たないかは恭弥とのやり取りを考えれば分かったことだろう。故にこそ草壁は恭弥という存在であったことを差し引いてもそれらが失敗だと思った上で、当人達に進言する気も起きなかったのだ。結局の所としてそんなことを言ったところで、新一達は自分達が間違っているなどと認めはしないだろうからと。
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だが今の恭弥は既に大人であって工藤の家からはもう出ている身であることに加え、仕返しの仕方が完全に大人がやるような物とは到底言えない子ども染みた物だった為、恭弥もらしくなく草壁に呆れたようにこういったメールが来たんだけど・・・と話し掛けてきたことから、その事実を知ったのだという。
その話に綱吉達も同じように呆れるしかなかったし、どれだけ蘭が大人になりきれていないのかを実感した。そしてそんな蘭を妻として制御しきれないこともあるが、成長もさせることが出来ない新一も結局は大人として中身は成長していないのだろうとも考えた。
ただそんなことをしても恭弥に効果がないのは分かりきった事であるというか、むしろどうぞという所だろう。何せ新一と親子で協力など散々した話から望む事など一切ないどころか、協力してやるからと言い出される事もなくなるのだ。そういった煩わしさから解放されるというのは恭弥に風紀財団からしたなら願ったり叶ったりといった所である。
・・・ただ綱吉達は草壁も交えた話をそこで終わらせず、新一にも話をいかせた。あまりにも蘭の言うことを聞きすぎているというか、止める気配が無さすぎではないかと。しかし草壁は綱吉達にこう返した・・・新一も気持ち的には恭弥にやり返したいという思いがあることもあるが、単純な話として蘭も含めて大人になりきれていないのだと。
どういうことかと草壁に聞いた綱吉達だが、話に聞く限りでは小学生になる前から事件や謎に出会い解決してきてそれらを続けてきてそれを止める事なく生きてきた新一は、自分が正しいと信じて生きることに疑いを持たないままに歳を重ねていき・・・自信と知識を重ねたことで、新一自身もそんな新一を盲目的に愛する蘭も自分が立派な大人だと錯覚しているのだと。
しかし今生でも恭弥と近くて最も付き合いの長い位置にいる草壁からしたなら、そんな二人が大人としてまともでないと判断するのは当然であった。というかそもそもの話として言うなら恭弥が中学生になってしっかりしているからと見て、自分達の親が新一なら大丈夫と見て家にろくに帰らないまま過ごすというやり方をより踏み込んだ状態で踏襲したこと自体、草壁も有り得ないと思うしかなかったのだ。
この辺りの事を考えるだけでも新一達夫妻に新一の側の祖父母がいかに問題であったかもそうだが、そもそも調べるだけでも億劫になりそうな数の事件に出会ってきた筈の新一達が育児放棄や家にろくにいないような毒親に対してか、毒親が起こした事件に出会ってこなかった事もまた異常だった。優に百どころか千すら越えるような数の事件を解決してきたのにだ。
ただそこでもしそんな事件が起こったとしても、新一達が自分達はこんなことにはならないだろうと見ていただろうし、自分の環境が間違った物だったと思うことはなかっただろう・・・何故なら自分達はこうして正しくあるのだからと、自分達の事を疑わないからだ。
だがそれは言ってみれば新一の祖父母というか、祖父が売れっ子小説家であって金持ちであったことが何よりの理由だ。というより金持ちでなければ祖父母や新一達がやった事は、完全に自分達がやりたいことをやるために子どもなんか知ったことではないと育児放棄しているものだと見られても全くおかしくない行動だった。
そうでなければ流石に新一もいくらなんでも我慢出来ないとなっていただろうし、恭弥も恭弥でその祖父母より渡されている金が中学の頃の自分の生活費だと知っていた。この辺りは探偵として動き回る経費などはちゃんともらってはいるが、探偵としての仕事を優先して蘭共々一つ所に留まらない生活をすることを自分稼いだ金でやりたいということに、それを知った祖父母がなら恭弥の生活費は自分達が出すとしたからである。自分達の孫なのであるし、新一の活動を補佐するという意味で恭弥の生活費を出すのは当然だろうと。
・・・だがそれがいかに金持ちの発想であり、例え金を持っていても自分達の思うような子どもに育たないかは恭弥とのやり取りを考えれば分かったことだろう。故にこそ草壁は恭弥という存在であったことを差し引いてもそれらが失敗だと思った上で、当人達に進言する気も起きなかったのだ。結局の所としてそんなことを言ったところで、新一達は自分達が間違っているなどと認めはしないだろうからと。
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