親の背に子が倣うか?

「骸も覚えてるだろうけど、前世での俺の父親ってボンゴレにおいてすごい影響力があって頼られるような存在だったろ?けどさ、俺からしたらあの父親ってボンゴレのボスに就いてから思ったこととしちゃさ・・・ボンゴレの存続だったり世界とを天秤にかけて、俺を平和な世界の中で暮らさせるようにする事を選択しなかった酷い父親なんだよ。それを言ったらお前もそうだろって言われるのも承知してるけどさ」
「・・・まぁ貴方も何だかんだで自分の子ども達をマフィアとして関わらせる事を選択した身でしたからね」
「あぁ、そこはな・・・」
そこでボンゴレにマフィアという名を出しながら話を進めていく二人だが、骸からの返しに苦笑をするしかなかった。否定出来ないと。






・・・綱吉達は前世ではマフィア関連の人間であって、綱吉はボンゴレというマフィアのボスの血族からボスにならざるを得ない状態に持っていかれた。嫌だ嫌だと拒否をしつつもそうなることを進められていった上で、最終的に自分がそうしなければならないと決意する事にはなったが。

ただその中で前世の綱吉の父親はそのマフィアに所属しつつも綱吉や妻にはその事は言わずにしていたが、やむを得ない事情があったとは言え綱吉にだけその事実を明らかにした上で、散々マフィアのボスになりたくないと拒否をしていた綱吉をそこに就ける事の方に尽力したのだ。

綱吉もそうしなければ色々と駄目になるものが多かったから決断せざるを得なかった部分があることは理解はしているが、それらを差し引いても父親が自分や周りの都合のために情報を統制して子どもである自分の危機に際してようやくそれらを伝えたばかりか、命が失われる危険な立場に立っても親として助けることを選ばなかった事もあった・・・これは綱吉の事を信頼していると言えば聞こえはいいが、綱吉の立場から当時を思い出して言わせてもらうなら自分を殺して見捨てるも同然の事をしたのだと考えた。

その為に綱吉は前世の父親の事を死別するまではマフィアとしての先駆者としては頼りになるとは思いつつも、父親としては全く頼りたいと思えないままに生きていった。腹に一物も二物も抱えるような魑魅魍魎が跋扈する世界の中で自分や母親に底を見せないようにしてきたその手腕に仮面は確かだと見つつも、結局の所としてマフィアとしてを捨てきる事が出来ずに素顔などほぼほぼ見せることもなかった父親を。

・・・だがそれでなら自分が父親としていい父親になれたかと考えれば、結婚して子どもが産まれた後にその子どもをマフィアから離した生活をさせることが出来ないと悟った事から、せめて父親のように都合のいい誤魔化しはしないようにとボンゴレ関係の事を全て伝え、自分の後を苦労して継がないように実力をつけるようにするよう動くのが精一杯だった。だから綱吉としては自分は父親としては良くない人物だったと感じていたし、骸にそういったことを話していたのである。結局自分もそうしてしまったのだというよう・・・






「・・・まぁだからって言うかさ・・・こっちでの雲雀さんの両親のあの二人のように評判に外面は良くたって、身内からしたら良くないって気持ちを抱くような存在に何かシンパシーを感じたんだよ。そして話に聞けば聞くほど自分が正しくて誰も傷付けてないなんて風に思い込んでるだけで、そもそも事件が起きないようにしたいだとかみたいな考えなんて全くない人達だって思うようになってからは特にな」
「確かに聞けば聞くほど事件が起きないようになってほしいと考えてはいないではないにしても、明らかに取材を受けた際のあのドヤ顔の写真は事件を解決して謎を解けたということを嬉しいとしか思ってないという顔ですからね。本人達に聞けば確実に否定をするでしょうしあの雲雀恭弥なら面倒を嫌ってそこまでは言わなかったでしょうが、あれは事件が起こることをどこかしらで望んでいるのは確かだったでしょう。父親の方は事件に向き合えることで、母親の方はそんな父親がそこで輝いている姿を見れることにね」
だからこそと綱吉が語るその中身に、骸も同意しつつ言葉にしていく。新一達は事件が起きることを本質的な所で望んでいるだろうと。









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