いつかを変えることの代償 終幕(前編)

・・・少年探偵団。それは以前に新一が小さくなった体で自分が江戸川コナンという立場を演じることになった際、子どもの立場での不自然さを隠すために通った小学校で出会った子ども達と結成した探偵団である。そしてそこには後に同じように体を小さくした志保も加わった。

最初の頃は遊びの延長線上の子ども達の戯れのようなものであった。子どもはカッコいい物であったり、何々ゴッコみたいな遊びが好きであったりするが為に。

だが次第にコナンとしても事件に関わるようになった新一はメンバーの子ども達も事件に関わるようになっていった。コナンが主に事件を解決していく中でメンバーもその手伝いをしたり、解決の糸口を導いたりしてきたことから次第に自分達の実力に自信を持つようになっていき、子ども特有の正義感から事件があるなら自分達の出番だと率先して口出しやら何やらしていく形でだ。






「あの時間が楽しかった、ということに関しては否定はしないわ。けれど幼い子ども達が下手をすれば死んでいたかもしれなかったことは何度もあったし、トラウマが刻み込まれる可能性が高いなんて事はそれこそいくらでもあったわ。それは起こらなかったからまだ良かったとは言えるけれど、あくまでそれは結果論・・・工藤君は彼らを巻き込むべきではなかったわ。彼らの事を思うならね」
「そりゃな・・・銃で撃たれて死んでたってなってたら、あいつらのトラウマってヤツはヤバイことになってたろうな・・・」
志保が更に問題点を挙げたことに、昔の事を思い出し小五郎も遠い目を浮かべる。コナンだった頃のピンチの事を。






・・・事件という物が危険でない事など、ない方がむしろ少ない。その上で新一は数えるのが面倒なほどの事件に関わっていて、少年探偵団もその事件に少なからず関わっていた。

パッと小五郎が思い出したのは新一が銃で撃たれた時の事ではあるが、それ以外にも多くの危険があった。新一だけでなく、少年探偵団のメンバーも命の危険に晒される形でだ。

運が良かった、もしくは新一が活躍したから被害は少年探偵団のメンバーには心身ともに及ばなかった・・・だがそれはあくまで結果論であり、悪い結果がないならいつまでもそれを続けていいと正当化出来るような物ではなかった。本来そんな危険なことに子どもを巻き込んでいいはずがないのにである。

・・・だが新一はそんなことは考えず、事件に少年探偵団のメンバーが関わるのを嫌がりはするものの、結局は元の体に戻るまで事件が起きた際は共に解決に乗り出す形を取っていた。いくら少年探偵団が自分達から事件に関わってくると言ってもだ。まぁそれも新一の影響からなのだが・・・






「つまりそういうこと・・・工藤君は自分が人を巻き込んでいる、それも非凡の場に連れてきているとは思ってないのよ。そしてその理由の核は自分が非凡であることに気付いてないことで、事件と関わることは別段おかしいことじゃない・・・普通だって風に思ってることよ」
「あ~、だろうな~・・・新一と関わらなくなってからほとんど事件なんか遭遇する事が無くなったんだけど、ホントあいつが事件を引き付けてたんだな・・・一時期俺は目暮警部に死神扱いされてきたけどよ・・・」
「間違いなく事件を引き付けていたのは工藤君よ。そうでなければ工藤君がいない時におじさんの所で事件が大量発生していたでしょうしね」
「そう言ってくれると少しは安心できるぜ・・・」
志保はそこから新一の非凡性についてを話していき小五郎も納得しつつ昔の事を思い出すと、すかさずフォローを入れる志保にホッとする。自分が事件を引き付けてないと言われ。









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