親の背に子が倣うか?

・・・そうして英理は風紀委員時代から手伝いをしていった上で風紀財団となった事で正式に財団から仕事として依頼が来たならそれを引き受けるようにしたのだが、その前段階の財団となる少し前の時に恭弥の元に来訪したのが真と園子夫妻である。用向きは鈴木財閥も風紀委員に世話になったことが何回かあることから、財団を設立するスポンサーの一つになろうという話し合いのためにだ。

それで話が進んでいってスポンサーになることに話が進んだ中で、話が新一達に協力を願わないのかという方向に行ったのだが・・・恭弥から新一達に対する話を聞いていった上で、最初は否定を返したかったといった様子の園子に真が話をしていったことで納得することになった。

・・・この辺りの鈴木夫妻のバランスであるが、鈴木財閥の令嬢として育ってきた分の知識に素養は確かに園子にはあることはある。しかし感情的に物事を考えて動きやすい傾向のあった園子は情によって目が曇りやすい部分があったのだが、その部分を補うのが真の役割であった。恋愛結婚という形で婿入りする事になった真は財閥の運営に関する知識は初めはなかったが、元々の生真面目さから勉学に励んでいった上で財閥の人間として・・・園子の婿として恥じないようにと考え、冷静に事に挑んで情に揺らがず判断する役割は。

そしてそんな役割について的確にこなしてきた真の事を知っていて信頼しているから園子も考えて頷く事にしたのだ。恭弥が言っている事は軽く否定を出来るような物ではないどころか、むしろ納得出来るような物であったことでだ。






「・・・二人とも、取りあえず新一君達の事についてはここを出てから話しましょう。恭弥君には新一君達の実態を見せるということから長めに時間を取ってもらっているとはいえ、あまり長居してもよろしくはないと思いますからね」
「そうね・・・そうしましょう、おば様・・・」
「えぇ・・・」
そんな二人の間に蔓延していた複雑といった空気を真が一先ずはというように割って入ると、二人も確かにと頷いて返す。
「と言うわけだ、恭弥君。見るべき物も見終わったしやることも終わったからこれで僕達は失礼するが、園子さんや財閥の人達と協議することにはなるだろうが今後も風紀財団との提携については進めていこうと思う上で、新一君達との関係に関してはあくまでも個人的な物に留めるようにするよ。恐らく蘭さんは鈴木財閥が風紀財団に協力するのは君への仕返しの為に一時的に止めるようにするように言ってくるだろうから、そういった言葉についてはこちらで止めておく」
「お心遣い感謝します」
そうして真が爽やかな笑みを浮かべて口にしていく言葉に、恭弥は礼と共に軽く頭を下げた。






・・・そもそもからして何故三人が隠しカメラから見る形で新一達との会合を見ていたのかについてだが、それは風紀財団から新一の協力を拒否する旨を伝えられた蘭が園子に酷くないかと言ったことから、もしもの時には後で園子にもこの件についての良くない話をしに来るかもしれないと恭弥に園子が伝えたからだ。まず間違いなく蘭は鈴木財閥から風紀財団への協力を恭弥への懲らしめの為だけに止めるようにと言いかねない雰囲気が強くあったから、話をしないといけないと思ったと。

それで恭弥はうんざりといった気持ちを心底から抱きながらも、どうせならその場面についてを見れるようにするから見てみるつもりはないかと尋ねた。近い内に新一達がアポを取って会いに来ることになっているから、その時に風紀財団と定期的にやっていた会合を予定をずらしてやる形にした上で、二人とどういった話をするか見てみないかと。

その中身に最初はどうかといった気持ちになっていた園子だったが、英理にも似たようなことを蘭が言ってきた上でその場面を見れるようにセッティングする予定でいるからということで、ならという形で真と三人で観察することになったというわけである・・・その結果として、園子も見て良かったとダメな方向で決断を下さざるを得なかったのだ。

ただそうして園子が新一達を苦渋の決断として見放すと決めたのはその様子が酷かったというだけではなく、風紀財団と鈴木財閥の関係を私情で崩しかねないこともあるがそもそもを言うなら風紀財団と関わりを持つと決めたのが真の決定でもあったからだ。









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