親の背に子が倣うか?

恭弥が産まれたことで英理は自分が祖母という立場になったこともあって新一や蘭達の所に顔を見せに行ったり、自分の所に呼んだりした。恭弥との交流をしたいと思ったのもあるが、小五郎に恭弥の様子を秘密の形で伝えるようにするためにもと思ってだ。

ある意味ではそうして秘密ではあるが昔と比べれば断然に仲良く小五郎と話せる事に皮肉なものだという考えもあった英理だが、そういったように新一達というか恭弥と交流をしていく中で新一達の影響を受けない姿に正直な所で本人達には言葉にはしないが、安堵の気持ちを英理は抱いていた。何故ならもうその時には小五郎とのことから新一達のその姿勢に関して、好意的に受け止める事など出来ようもないと思っていたから親に・・・というか新一側の祖父母も含めた二代の在り方を恭弥が受け継がないで良かったとすら感じたのだ。

そしてその上で恭弥が一人で新一達に知られず小五郎に会いに来たことやその時のエピソードを受けて、英理も久方ぶりに感涙をしたものだった。小五郎の辛い気持ちを知って敢えて新一達に悟られぬように慰めたい気持ちを抑えていた英理だったが、恭弥がそんな形で小五郎の事を考えて動いていてくれたということに。

しかしそうして恭弥の行動に感動したのはいいものの、中学の頃から恭弥が発足した風紀委員としての活動についてを知った時にどういうことかと英理は直接話を聞きに行ったのだが・・・新一達についてに記者達の態度、そして何より恭弥一人で大丈夫と見たことから家を空けることが常となったということに唖然とするしかなかった。特に家を空けることに関しては新一が高校生くらいの時には親と子の両者の思惑が合致したこと及び、誰もおかしいと抗議しなかったことから表沙汰の問題にはならなかったが、それをそのまんまどころかバージョンアップすらする形で中学生程度の恭弥相手にやってしまったことにだ。

一応というか百歩譲って新一の高校生の時に関してはもう終わったこと及び、自分がそれを知っても新一君だから大丈夫だとか自分には関係無いだとかの気持ちがあったから、その事に関しては今更だという思いにより話題を蒸し返すことはなかった・・・しかしこれが孫の話、それも新一の時より早い中学生の時にそうしたことに英理は怒りを覚えたのだ。いくら恭弥がしっかりしているとは言え、夫婦揃って恭弥を放置していることもだが改めて考えれば相手方の祖父母のやっていたことはおかしいことだと。

だがそれはもう今更だということや下手に話をした所で向こうは事件や謎の解決をしなくてどうするのかにそんな新一を支えるのが大事と言うのが目に見えているからこそ、面倒になるから下手に何か言うのも止めてほしいと恭弥が言ったことに英理も引くしか出来なかった。恭弥が言っていることは理解が出来た上で二人というか蘭にその事についてを言っても、新一が出来た事だし恭弥はしっかりしているから大丈夫と笑って言うだろう上で、言い合いになったら絶対に蘭は引かないだろうし恭弥の面倒は自分が見ると引き取っても似たような結果になる可能性があると。

その為に英理は辛いことがあるだとか助けが欲しいなら自分の元に来るとか言ってほしいと伝えた上で、風紀委員時代の活動からの恭弥の手伝いをすると共に・・・時折来ることがあった新一達関連の事件関係者の弁護を完全に止めることにした。これは親族結託をしていると露骨に言われることを避けると共に新一が解決した事件を全部引き受けていたら、冗談抜きに担当する仕事が新一の解決した事件関連の物だけになりかねなかったからだ。

そういったことをするのは対外的にあまり良くないという事から新一達にも話をした上で専門の弁護士になるようなことはしないと英理は言ったのだが、恭弥の事からもう新一達の事を助ける気は起きずにその代わりに恭弥を手助けしようと決めたのだ。少なくとも新一達を助けるよりは全然有意義であると思った上でである。









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