親の背に子が倣うか?

「・・・でも良かったの、恭弥君?あんな風に蘭達に色々言っちゃって・・・」
「構いませんよ。むしろあぁでも言わなければ特に母さんの方が面倒になったでしょう。納得が行かないからもう一度やらせろと言い立て、そうしないならそうするようにするまでと言い続けるのは目に見えていますが・・・それを許したら事件になって解決するのが財団の活動と一致すると勝手に解釈するのも目に見えている。最初は気にしていたんだが結局事件に発展していって、どうせ事件は防ぎようもないし事件を解決すればマスコミに宣伝も出来て風紀財団の株も上がるとね」
「・・・さっきの新一君に蘭の様子から考えると、今となってはそうとしか思えないわね・・・」
次に園子が両親に対する態度として大丈夫なのか問い掛けるるが、恭弥が気にした様子など全く見せずこうなるともしもの話についてをしていく中身に、否定出来ないと何とも言いようがない様子で納得してしまった。
「・・・私も園子ちゃんと同じような気持ちにはなったけれど、貴方が中学くらいにはそんな想いを抱いていたということを隠しカメラにマイクから見聞きしたことに驚いたわ・・・そして今まで貴方が新一君や蘭に対してそういった考えを持っていたことを・・・」
「僕から言わせてもらえばということですが、そもそもは小五郎のお祖父様の事があったから考えて言えたことです。新一が探偵として特別であるというか、あれは自分やその他の探偵達とは違うといったような諦めの気持ちのこもった言葉を聞いたからこそのね」
「「っ・・・!」」
続いて恭弥の母方の祖母である英理が意外だったというような声を漏らすのだが、そこで出てきた小五郎という名に英理もだが園子も息を呑んだ。小五郎という名は今の二人にとっては色々と複雑な物だった為に。






・・・ここで名前が出た小五郎とは英理の夫であり、恭弥からして見れば母方の祖父という立場にあるが、恭弥が物心がついた頃には控え目に言っても新一と蘭の二人と後で判明することとして、父方の祖父母の二人との仲は決して良くない物だった。

ただそれでも実際に恭弥が会う時は恭弥がいる前だったからだろうが、ちゃんと受け答えはしていたし恭弥の面倒は見てはくれた・・・ただ幼いながらに恭弥は感じていた。小五郎が新一に蘭の二人の事を快いと思っていないことと、そんな小五郎と仲直りしたいが二人はそれが出来ずにいるのだと。

そしてそんな小五郎と違い新一達と鈴木夫妻に英理とは時々ではあるが友好的に接していたため、恭弥は三人に小五郎と新一達の仲に関してどうしてこじれているのかといったように新一達に聞こえないように聞いたのだが・・・そこで真はともかく園子と英理は誤魔化すようなことを言って、ハッキリとした答えを返すことはしなかった。明らかに何か過去に小五郎と新一達の間で何かあったとしか言いようがない様子でだ。

・・・この辺りの事に関してはまだ新一達が高校の時に本当に様々に色々とあった上で小五郎との意識の差が生じ、新一達は前のようになりたいと思いはするが小五郎がそれは嫌だと距離を絶対に縮めようとしないからである。ただその中身に関してはもう昔の事という以上に言ってはならない中身しか無いものが多すぎるため、恭弥に説明出来ない部分もあるのだ。

だが恭弥も幼いながらもそんな裏があることに関して雰囲気くらいは感じ取った上で、小五郎が単純に性格が悪いから新一達を突き放している訳ではないのだと感じていた。むしろ原因が新一達にあるからこそ小五郎は頑なに新一達を突き放しているのだろうと。

そう思った恭弥はある程度成長した上で時間に余裕がある時は度々小五郎の元を一人で訪れていき、色々と話をしていった。自分単体であれば小五郎はそんなに邪険にしなかったのもあるが、小五郎の事を色々知りたいと思ったことからだ。









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