親の背に子が倣うか?

「言っておくが、僕はそうして貴方達が時間を取らなかったことに関して恨み言だったりを言うつもりはないし貴方の活動を批難するつもりもない。だがならアンチテーゼと言ったことに関してはどういうことかと思うだろうが、貴方は数多の事件に出会う事を考えてそもそもの事件が起きる可能性についての芽を潰していき・・・貴方が事件に出会うような事になる機会全てを無くすことは出来ずとも、激減させるために風紀財団を設立しようと考えて昔から動いていたんだよ」
「な、何だって・・・!?」
だが更にそこで恭弥が口にしたまさかの風紀財団の設立の動機に、新一の目が驚愕に見開かれた。負の感情はないと言ってはいるが、自分に対しての考えからが理由だということに。
「貴方達の子どもとして生まれてから物心がついてから、事件に出くわす頻度が非常に高いことは僕は当時から感じていた。ただ貴方達は探偵としてそれらを解決するのは当然だというような様子だったが、貴方達は事件を解決する事を考えるだけだったし周りやその後の事なんか気にした様子はなかった・・・そんな姿勢を見ていく内に僕は考えたというわけだよ。貴方達のようにはなるのではなく、むしろ真逆な立場に立とうとね」
「ちょっと恭弥!それがどこが批難するつもりは無いって言うのよ!?言ってる事が矛盾しているわよ!」
「批難はしていないさ。僕は貴方達の活動の在り方に自分がこうありたいと思ったことを話したのであって、貴方達がどう動くのかを批難はしていないしこうするようにとも強制はしていない。アンチテーゼと言ったのは僕からしての貴方達の活動に対してこういった気持ちからの物だという言葉さ」
「恭弥っ・・・!」
「落ち着け、蘭・・・!」
それでいかに二人の活動からこうしたのかを話していく恭弥に蘭がいい加減にしろと言わんばかりに怒りを浮かべるが、全く動揺も何もなく淡々と返す様子にたまらず立ち上がったことに新一が肩を掴んで制止にかかる。
「僕の考えたことが気に入らないというのは別に構わないさ。母さんの性格に考え方からしたなら今のようになるだろうというのは分かっていたからね・・・ただそれで門前払いをするのではなく、ちゃんとやってくれるという可能性もあったから父さんを試す事にしたが結果はさっき言った通りというわけで、こちらとしてはもう父さんを信用なんて出来ないというわけさ」
「恭弥っ・・・だったらもういいわ!頼んできたって協力なんてしなくていいわ新一!もうこんなとこさっさと行きましょう!」
「お、おい蘭・・・!」
しかし恭弥はそんな剣幕に全く怯まず返していき、その答えにもう我慢出来ないと苛立ちを隠さないままに部屋をずかずかと退出していき、新一はその後を追い掛けていく形で退出していった。






「失礼します」
「あぁ、ご苦労哲」
・・・それで恭弥一人が少しの間室内に残っていた訳だが、そこに二人が出ていった扉から秘書といった役割の草壁が後ろに三人を引き連れて入室してきて、恭弥の労いの言葉を受けた後に頭を軽く下げて無言で三人を置いて退出する。
「・・・見ていたよ、恭弥君。そして僕もそうだが、園子さんも妃さんも君の方が正しいと思ったという話になった」
「・・・そう言っていただけることに感謝します」
それで三人の中の真ん中に立った唯一の男性であり、現在は婿入りしたことから鈴木姓になった眼鏡をかけた京極真が代表する形で言葉をかけると、すっと立ち上がり軽く恭弥は頭を下げる。先程までの両親に対する態度からしたなら雲泥の差と言える丁寧さを見せる形でだ。









.
9/21ページ
スキ