親の背に子が倣うか?

・・・恭弥が新一に言った件に関してだが、これらは間違いなく事実であって財団としても問題となった行動であった。財団の中でも酷くこんがらがった問題だったり時間が足りずに手遅れになった問題もあったが、それでも出来る限りには大問題に発展しないよう行動するためにマニュアルなどを作成し、慎重に行っていたのだが・・・それらをすっ飛ばして行動した上で殺人事件に発展したのが新一の行動なのである。

無配慮に向かうべきところに向かいこういう問題があると報告を受けたと率直に告げてそこに向かえば、殺人事件が起きてしまった・・・これに関しては失敗と言えば失敗と言えるが、それでも一度ならまだ良かったとは言えないにしても仕方無いと慰めの言葉も出すことは出来るだろう。しかし新一はそんなことなど気にしたこと無いとばかりに同じような活動を続け、事件が起こっていったのだ。

こんなことが続いたことにより財団に協力をしたいと言い出した新一に関して、その協力を打ち切る事にすると財団側が考え恭弥が決めたのはある意味当然であった・・・財団の在り方から考えれば例え肉親の関係にあっても、そういった判断を下すのは。

だがそう判断を下すに至った最大の理由はまた別にあった。それは・・・






「ただ貴方の事だ。マニュアル通りにしたって結末は変わらないと言い出しかねないから、貴方の協力を拒絶すると決めた決定的な三つ目の理由についてを話すが・・・こちらのやり方に従わず、事件が解決したならとマスコミにその詳細の諸々を明かしたり明かそうとしたことだ」
「なっ・・・どうしてそれが駄目なんだよ!?事件が解決したんだからそうなったって報告して何が悪いんだ!」
「・・・はぁ・・・」
そして最後とばかりに恭弥が口にした理由に今までで一番納得が出来ないとばかりに叫ぶのだが、心底から面倒そうに目を閉じタメ息を吐く。
「・・・なら聞くが、貴方もそうだが母さんは解決した事件に関わった人のその後についてを把握しているの?」
「「・・・え?」」
「・・・はぁ・・・」
それで目を開け口にした問い掛けに新一もだが蘭もポカンとした声と顔を見せたことに、また深いタメ息を吐く。
「・・・事件の詳細を話すということは、加害者や被害者もそうだがそこに関係した人達についても話すということだ。そして貴方は今まで関わった事件で知り得た情報をマスコミに余すことなく聞かれれば明かしてきた・・・その中で加害者となった側の人もそうだが、被害者やその関係者の事情を考えずにね。だがその中で普通なら明かすのは望ましくないといった事もあっただろう・・・代表的な事を言うなら、いじめにあっていたといったような事みたいなね」
「それは・・・動機だったりその過程の中であったことを言うのは、分かりやすく説明する為には必要だろう・・・」
「なら聞くが、いじめにあっていた事を公共の情報紙やテレビに載せられて嬉しいといった人なんていると思うかい?ましてやそれを誇りにしていじめられてましたなんて言うと思うかい?・・・そういった人物はいじめられていたことを考えればまず気が強いなんてことは有り得ないだろうし、ましてやそんな風にいじめられていたんだみたいな好奇の目を向けられるであったり、そうなんだというような事実を知ってだったりの周囲の目に耐えられるような人物だと思うかい?」
「そっ・・・それ、は・・・っ・・・!」
「今更ながらに言われて気付いたといったようだね。そんな人物なんてまず存在し得ないということに」
恭弥はそんな様子に仕方無いと段階を踏んで分かりやすくどういうことかと説明していくと、新一もようやく分かっていったとばかりの様子を見せていったことに呆れを隠すことない言葉を口にした。今言われて気付いたのかと。









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