親の背に子が倣うか?

「・・・それで、二人が僕に会いに来た理由は何なんだい?」
「・・・この風紀財団がどんな活躍をしているかは俺も聞いているし、その活動について文句を言うつもりはない。それどころかむしろその活動を応援したいと思って俺は協力を申し出た・・・なのにどうして俺の事を財団の協力者から外すだなんてことにしたのかを聞きに来たんだ・・・!」
「あぁ、なんだ。そういうことか」
恭弥はそのまま用向きを問うのだが、最初こそは抑えていた物の徐々に熱くなっていく新一の返しに大した興味もないといった声を漏らす。
「その事に関しては理由はいくつかある・・・まず一つは協力したいといったことから貴方に担当してもらった所に関して、貴方が行けば百発百中と言わんばかりに事件が起きたか、もしくは起きることになったからだ」
「何・・・?」
「僕達風紀財団としては事件が起きる前に事態を解決することが最善の形だと思っている。人が死ぬであったり悪党を逃がさないようにする前にと・・・まぁそうしたいと言っても物理的に無理だと言った状況も全く無かったとは言わないが、それでもそういったリスクは出来る限り潰していった上で財団の人間は行動していったことからそんな事態になることはほとんどなかった。だが貴方の担当していた件に関しては今も言ったよう、百発百中で事件が起きるという物だった」
「それは仕方無いだろ!事件が起きたのはその人達のトラブルからであって、俺が起こしたわけじゃない!」
恭弥はならとまず一つ目の理由を話していくが、すぐさまに新一は自分のせいではないと大声で返す。
「それが貴方からしての言い分だろうが、その時の貴方がどんな行動を取っていたかのレポートについては僕も読んだよ・・・そしてその結果として二つ目の理由として言わせてもらうが、貴方がこちらからこうしてほしいといったマニュアルを無視している事もあったからだ」
「マニュアルって・・・」
「そういったトラブルに関して何度も対応していて慣れている者はいるが、財団という形であるから新人が来るなら当然やり方についてを教える事は必要になる。だからこそ教育をするためにもマニュアルは作られていて、それを守ってほしいと貴方にも配布したと聞いているが・・・それを守ったような行動を取らなかったと報告に上がっているんだよ。下手に揉め事にならないようにと手順や段階を踏んだ物ではなく、そんな前置きなど面倒くさいとばかりに問題のあるところに突撃していって事件が起きたとね」
「・・・それは・・・問題があるって分かってるのに、手順や段階なんて踏んでたらいつどうなるかなんて分からないだろ・・・」
「財団の人間なら問題のある者と被害に合っている者を引き剥がして安全に事を進められた筈なのに、段階を踏まなかった為にそれをしなかったから追い詰められた被害者か加害者かが事件を起こさざるを得なかったんだよ?特に被害者に関してはやけになってどういったことを仕出かしかねないかという懸念があるからこそ慎重に行きたいのに、貴方が無配慮に突撃したことから復讐の機会は今を除いたら訪れない・・・そういった被害者の心理を考えられなかったのもそうだし、財団から渡されたマニュアルを気にしなかったから被害者が事に及んだとは思わなかったのかな?」
「っ!」
だがまだ理由はあると二つ目についてを告げていった恭弥に、新一はハッとしたように目を見開いた。事実、恭弥から言われた事は新一は体験していた為に。









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