親の背に子が倣うか?

・・・これらの行動は中学生及び高校生が行うには普通に考えればおかしいと思われる事だろうが、それは犯罪率が異常に高い米花町近辺においてはおかしくないどころかむしろありがたいと見られる物だった。それだけ米花町近辺ではトラブルが多発しているということもだが、それ以上に表沙汰になってないだけで影で人を虐げている者やその行為で泣いていたりする者達が相当に多かったことが何よりであって・・・それらを被害者側が決して不利にならないようにしていった上で解決する風紀委員は、おかしな物ではなく歓迎される存在と見られるようになっていったのだ。

そしてそんな活動をしていく中で風紀委員に救われた人物やその近辺の人物達が風紀委員に参加したり、金持ちが多かったことからスポンサーになっていくなどしていったことで活動の規模を拡大していき・・・恭弥が大学を卒業する段階になる頃には財団を結成するには十分な人員や資金源が揃うことになり、恭弥は迷うことなく財団を設立をした。元々の目的だったのもあってだ。

それでそうして風紀財団としての活動をしていった恭弥達なのだが、恭弥や有志達の活動により救われた者達及び悪事が暴かれた悪党達が山のように出てきたことにより、社会的な地位の向上および名声を一年程度で広めることになった。そしてその活動の規模についても徐々に広めていっているのだが、そんな中で恭弥の元に来訪する者達が現れた・・・






「・・・それで、何の用だい?父さんに母さん」
・・・風紀財団の本拠地であるビルの最上階の会長室にて。親である新一と蘭が横並びに座る椅子のテーブルの対面越しに、一人がけのソファに腰掛けながらイタリア製の高級スーツに身を包んだ恭弥は肘掛けに肘をついてこめかみ辺りに拳を当て、足を組みながら尊大に見下すような様子を見せていた・・・ただそんな尊大な様子でも鋭い目付きと独特な威圧感を放つ様子に、端から見たなら似合っていないとは言えない物である。
「「っ・・・!」」
だが目の前に座る新一と蘭はそんな尊大な恭弥の態度に、気に入らないと言わんばかりの様子の顔を向ける。
「恭弥!貴方の態度は何なの!?それに会うだけでも約束を取り付けないといけないってどういうことよ!?」
「・・・貴女は親なのだから気軽に僕に会えないのはおかしいと言いたいんだろう。だが生憎僕はそんなに暇ではないのは前に連絡したし、僕に時間を割いてでも会わせろと言い出したのは二人の方だ。現に僕は今そんなアポイントメントを取った二人に対し、仕事の時間を割いてわざわざ二人と会っている・・・風紀財団の会長としてだ。貴女達は両親として僕に会いに来ているつもりかもしれないが、僕にはそんなつもりはないし親だからともてなす理由もない」
「何ですって・・・!?」
そんな態度に蘭はたまらず立ち上がって恭弥に指を指しながら怒りに任せた言葉を向けるが、全く怯まず涼しい顔で返す慇懃無礼な様子により怒りを浮かべる。
「よせ、蘭・・・俺達はそんなことを言いに来た訳じゃないんだぞ」
「でも新一・・・!」
「俺に任せてくれ、蘭」
「・・・分かったわ・・・」
しかしすぐに新一が手を掴んでなだめるように笑顔で声をかけると蘭は何とか気を落ち着けて座るが、恭弥の視線は冷ややかなままどころか更に冷めたものとなっていた。









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