焔に触れお嬢様の目は変わる

「・・・でももうそれも終わり。子ども達三人に関してはやれるだけやることはやっていったし、新一君に蘭とはどうなるにしてももう友達として会うことはない・・・もう後はどうなるにしても、私やルークには関係無いわ」
「・・・そうさせてしまったきっかけの俺が言うのもなんだけど、本当に二人の事はいいのか園子?毛利さんと一緒にいる時にもそんな話をしたけどさ・・・」
「・・・確かにきっかけはルークではあるけれど、それは悪いきっかけとは私は思っていないわ。むしろもういいきっかけだとしか思ってないから・・・」
しかしもう考える必要ないと漏らす園子にルークは改めて確認を向けるが、大丈夫と言いつつ椅子から立ち上がってルークの後ろ側に回り込み・・・首に腕を回し、ゆっくりと抱き締めた。
「・・・最初の頃はルークが新一君や蘭達の様子を見て微妙そうな顔をしている姿に、正直に言って情けないって思ってたわ・・・けど時間が経つにつれてルークの方が普通っていうか、私自身も含めて新一君達が事件や人の命が失われる事に慣れすぎてたんだって思うようになった。そしてそう思っていくにつれて段々と二人に巻き込まれたりだったり、事件の話をされる度に微妙な気持ちになってそれ以外の時の二人となら一緒にいたいって気持ちになってって・・・それで今回の事よ。新一君は自分の体の事があるからって言っても犯罪者や事件の事が第一で、蘭もそんな新一君の事を何よりもって優先するような事を言ってきた・・・前の私だったら二人らしいって言って笑って見守るだとか協力をしようみたいに軽く思ってたのかもしれないけど、もう今の私からしたら無理だって思ったから蘭にビンタしたしおじ様にもあぁ言ったのよ・・・もういくら寂しいって思うようなことになっても、二人と別れた方がいいってね・・・」
「園子・・・」
そうして園子は自分の考えを話していくのだが、吹っ切っているといった話の中身に反比例するように声が震えていく事を感じてルークは心配そうに名前を呟く。
「・・・ごめんなさいルーク・・・ちょっとだけこのままにさせて・・・」
「・・・このままじゃなくてホラ・・・俺の胸を使ってくれよ・・・今の言葉は本音で言ったのは間違いないんだろうけど、俺のせいで辛い想いをしたってのもあるのは分かったからせめてその気持ちを俺にぶつけてほしいんだ・・・」
「うん・・・ひっく、グズッ・・・!」
そしてそのまま泣き声に変わっていく園子にルークは立ち上がりつつ体の位置を変え、その頭を胸に抱え込むように抱くと声を押し殺すように泣き声を上げだした・・・徐々に考えが変わっていっても二人は園子にとって幼馴染みであり友人であったという認識だったが、そんな関係を必要があって変えなければいけなかったからとは言え理屈だけで全て噛み砕いて飲み込むには、普段の軽さとは裏腹に園子は優しい女の子であった為に・・・



















・・・『江戸川コナン』と『灰原哀』の二人が帝丹小学校から転校という形で消え、毛利蘭が休学という形で帝丹高校から姿を消すことになった。その事に一部の者達は不満を持つことになったが、その不満が解決されることはなかった。何故ならその不満を解決することは、本来望まれる状況にはならないからだ。特に『江戸川コナン』と『灰原哀』に戻ってきてほしいという子ども達の要望に応えることなど、後の事を考えるならとても様々な観点から見て望まれる物ではないのである。

ただそれなら毛利蘭はどうなるのかという話だが、彼女に関しては親が唐突に名探偵と呼ばれていたのにその看板を降ろして閉業するということから、何らかのトラブルがあっての物ではと見られたが・・・同級生は別にいつもの事かと見て、ほぼ大したことではないとスルーした。ある意味ではトラブルが常態化したからこその認識されていたからこそ、少ししたらまた帰ってくるという楽観視の気持ちが同級生の中ではあったからだ。

ある意味では信頼されているというより、最早周りからすれば異常に慣れているからこその態度ではあったが・・・だからこそ然程騒ぎにならなかったが、それでも毛利蘭の事を『江戸川コナン』達同様求める者達はいた。だが前者二人は戻ることはない上、毛利蘭は戻れるか戻れないかも分からない状態にいる。しかし元に戻れたとしても、幼馴染みの男共々もう全ては戻らない・・・焔により変わったもう一人の幼馴染みとの関係は・・・









END









.
30/31ページ
スキ