焔に触れお嬢様の目は変わる

「そう、私もルークからそう聞いたことで考えてみたのよ。高校生探偵として新一君が持て囃されて事件を解決してきて、蘭や周りの人達がそれを普通の物として接していく・・・最初はいつもの事よとルークに言っていたんだけれど、新一君を事件を解決していく度に蘭を含めた周囲がいつものお手柄といったように明るく話題にしていく様子を見て、より身を引いたようになっていった姿にどうしたのかって聞いたら・・・事件を解決したってことばっかり取り上げてるけど、いくら動機があるからって言ったって人が死んだとか死んでないにしても犠牲になったことをそんな風に笑いあえる姿は、見れば見るほど受け入れられないって言われたわ・・・そう聞いた私も考えるようになっていったの。悪いことをしているわけではないにしても、新一君や蘭達がそうして事件が解決したことに関してだけしか見ないのはどうかって事をね・・・」
「・・・確かに、そう聞けばそうだな・・・俺の高校生の時代を思い返してみりゃそんな事件なんかそもそも一回も起きることなんか無かったってのに、数えるのすら馬鹿らしくなるくらいにあいつの周りで事件が起きてた・・・そういったことを考えりゃ事件が何回も何回も起きたからってんで慣れてきたからそうもなってたんだろうが、それが続いたからあいつらはそういった犠牲だとかの事についてを全く考えてこなかったと・・・」
「そう・・・そしてそういった風にあの二人の事を見て接していくと、前のように事件の事を軽い話題として挙げることも出来なくなったし二人や周りの話を普通に聞けなくなったの。ただそれでも蘭には少しでもルークが外から見たような気持ちや考えを理解してもらいたいって思って、話を度々してきたんだけど・・・遠回しな言い方じゃ蘭は空気を読んでくれるとか理解もしてくれなかったし、かといって直接的な言い方をしてもちゃんと受け取ろうとしてくれなかったのよ・・・心配性ねとか新一なら大丈夫よって自分が新一君に関わることも含めて、何らまともに聞く気もないって形でね」
「マジか・・・」
その上でいかに自分がルークのおかげで変わったのかについてと、対比するような蘭の盲目に変わることをしない姿勢・・・それらを園子の口から聞かされていった小五郎は、たまらず手で顔を覆った。それだけ蘭がいかに新一についての気持ちや考えに姿勢を変える気が見受けられず、園子の気遣いを大したことないと無下にしたのだということに。
「・・・ただそれでも私からしたなら蘭は友達だから、あまり新一君と関わりのない時の蘭とは交流をしてきたわ。ただそれが大きく変わったのは、新一君が表向きはいなくなってあの姿でここに連れてこられた時からね・・・あのガキンチョが新一君だなんて思わなかった私は単に蘭が預かっただけの子どもだって思って、ルークも一緒にいる形で最初の内はついでに面倒を見ようかって思ってたんだけど・・・今なら新一君本人だからって知ってるけど、その時は新一君みたいに事件にやたらと出会う子だって思うようになったから、蘭に不自然に思われない程度に距離を取ろうって思ったのよ。ルークの立場もあるけど、私もあの子に関わってたら新一君がいた頃のように事件に関わるんじゃないかってね」
「ちょっと待て・・・そういう割には度々お前は事件に関わってきたじゃねーか」
「それに関しちゃ蘭だけってどこかに誘った時は言ったのにコナン君も連れていきたいし、コナン君も付いていきたいっていうからお願いって断れないタイミングで言ってきたからよ・・・そしてそれで仕方無いから事件が起きないようにって思ってても、結果は知っての通りだしおじ様がいないから私が推理役にされてきたってわけよ。だから推理役にされたことに関して流して気付けなかったことはともかくとしても、そういうことばかりだったからどうしようもなかったの」
「あぁ・・・蘭や新一が勝手にそうしてきたから園子が嫌でも巻き込まれる事になったって感じなのか・・・」
「そういうことね・・・」
だが更にいかに園子が考えて『江戸川コナン』を避けようとしたかについてと、蘭がそんな気持ちや考えをいかに考えずに『江戸川コナン』と共にいれるようにと進めてきたのか・・・それらを聞いた小五郎は更に脱力したようになるが、園子自身もまた脱力したように肯定を返した。









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