焔に触れお嬢様の目は変わる

「・・・なぁ園子よ・・・お前は良かったのか?俺も俺で蘭の事を見捨てちまったのかってのはあるが、お前もお前で蘭は友達だったのにあんな風にしちまってよ・・・」
それで三人になった場で小五郎が園子に神妙に友達だったのにいいのかというように問い掛ける。
「・・・友達だって思ってるってことは否定はしないわ。けど私もあそこまで新一君大事の姿勢を蘭が崩すと思わなかった上で、鈴木財閥もそうだけど何よりもルークまでもを巻き込んででも新一君の為にって言い出した時に、たまらずビンタしてしまったと同時にもう蘭は駄目だって思っちゃったのよ・・・ルークと会ってから考えるようにはなっていったけれど、新一君に影響を受けすぎてるんじゃないかって事にね」
「影響を受けすぎてる・・・だと?」
「おじ様にこういうこと言っちゃうのもなんだけど、新一君に蘭が惚れてるってことは分かってたしその逆でもあることも分かってたわ。そしてそんな中で付き合うだったり恋人関係にならないまま進んでいくんだけど、そこも含めて重要なのは新一君が探偵としても人としても正しいみたいな構図を新一君自身もだし、蘭も信じて疑わないようになっていったことなのよ・・・それこそ新一君のやることは間違ってないし、手伝うことは当然だみたいにね」
「・・・つまりその考えの結果が、さっきのように新一を否定された蘭の勢い任せの怒りだって事か・・・俺達の言うことも分からない訳じゃねーが、それ以上に新一を否定してんじゃねーって考えでな・・・」
園子はその声に答えていく中でいかに蘭が新一に影響を受けたのか・・・それらを自身の経験を合わせた言葉で語っていくと、小五郎も苦々しくも納得するしかなかった。蘭のある種異常とも呼べる新一へのこだわりの怒りを見たために。
「そういうことなんだけれど・・・私もルークに会うまではそれが普通だと思っていた。でもルークに会って一緒にいる内にそんな二人の姿もだけど、新一君が事件に関わることが普通であるということに違和感を感じるようになったの・・・今まではそれが自分達にとっての日常だったけど、ルークから見たらそうには思えないって言われてからね」
「・・・そうなのか、ルーク?」
「はい・・・俺の国は小国だったからそんな事件が頻繁に起きる訳じゃないんですけど、それでも犯罪は起きる時には起きてはいました。ただそれでもそんな犯罪なんか身近で何回も、それも然程時間も空いてない時に起きるなんて経験なんかありませんでした・・・けど日本に来て園子から新一達を紹介された上で、新一がそんな形でいくつもの事件に関わって解決して毎回のように笑顔を見せて、蘭がそれを当然とする様子にこれが日本での普通なのかって園子に聞いたんです。犯罪率は先進国じゃ少ないって言われてる筈なのに、新一の周りでこんなに事件が起きるのは当然なのかって」
「あ~・・・確かにそう言われてみりゃ納得出来るな・・・俺も新一があの姿になってここに来るまで事件に関わるのは普通だって思っちまってたけど、そうやって言葉にされちまうとあいつや蘭がそんな姿を見せてたのは端から見りゃどういうことだってなんのはな・・・」
そうして続く園子の話の中にルークが理由と言われて小五郎が視線と問い掛けを向けると、自身の立場から感じたことに考えたことを複雑そうに返してきた中身に脱力気味になりながらも納得してしまった。それまでの普通は端から見たなら普通ではないということに。









.
22/31ページ
スキ