焔に触れお嬢様の目は変わる

「そ、園子・・・!?」
「あんたいい加減にしなさいよ蘭!新一君のことを知ったからどうにか力になりたいってのは分かるわ!けどあんたは新一君を優先し過ぎて周りを見なさすぎなのよ!」
蘭もまた信じられないというようにビンタされた頬を手で押さえるが、園子は怒りが覚めやらぬというよう蘭を指を指しながら怒声をぶつけていく。
「まだあの子達の事を考えられたって部分はまだいい・・・とかなんて言えないわ!ならって事であんたはすぐに私やルークに代わりにこうしろって言ったのがどれだけ考えがない事だってのは分かってんの!?特にルークに関しちゃあれだけ危険だ危険だって言ったのにそれを承知でルークには突っ込めなんて自分がどれだけ無責任な事を言ってるのかってことを!」
「っ!?」
そしてそのまま園子が更に怒りの言葉を向けていくのだが、その中身に蘭もハッとしたような表情を顔色を悪くしながら浮かべた・・・言われた通り新一の為にルークが自分より強いとは言え、その新一の為に危険に飛び込めと無遠慮無配慮に言い切った事に気付いて。
「そ、園子・・・ちょ、ちょっと落ち着けよ・・・」
「落ち着けぇ!?そもそもんたがおじ様に私達を始めとして黙って利用してきた上でまだ諦めようとしてないのが原因でしょうが!それを分かっててあんたはなだめるだけなだめようなんて虫のいい言葉なんて聞けるはずないでしょ!」
「うっ・・・」
新一はたまらずそんな彼女をなだめようとしたのだが、園子から怒りのままに返された原因に言われたくないとの言葉にすぐに声を詰まらせる。
「あ~・・・この流れで俺からこういうことを言うのはどうかと思うけど、そもそも前のペンションの件で大分釘を刺されたんだよ。緊急の事態であったことは承知はしているが今回のようなことを続けていたら本国から目をつけられるし、身を引き受けてくれている鈴木財閥に迷惑がかかる事は出来る限り避けてほしいってな。だから俺の立場的に新一に協力するってのは難しいってのもそうだけど、言われたから協力したってなったらあんまり言いたくないけど外交問題に発展することも無いとは言えないんだよ・・・」
「「っ・・・!」」
そんな中でルークが気まずげに頭をかきつつ自分の立場についてを言葉にしていったことに、新一と蘭の二人は揃って目を見開いた。






・・・ルークは表向きは外国人の一留学生という立場にいるが、その実はとある国の王位継承権を複雑ではあるが一応はまだ持っている存在になる。その上で日本に来たのはルークの立場をおもんばかった面々が企業的に付き合いのあった鈴木財閥に頼み、身分を隠す形で保護者共々少なくとも高校卒業の間までその身を引き受けてもらうことになったのだ。

だがそうして園子と同じ帝丹高校に通いだした中で、探偵としてという好奇心が疼いた新一はルークの身辺についてを探っていって、それを園子や蘭がいる場で推理した中身を明かしたのだが・・・その時に園子は絶対にそれを表に出すなと、新一もだが蘭にも強く言い付けた。

・・・今は不幸中の幸いで他には誰もいない場だからまだしも、ルークの立場が表沙汰になったならルークをよく思っていない面々に目を付けられる事になることもそうであるが、それでもしものことが起きればルークの身を預かることになった鈴木財閥も責任問題になる上、それを無責任に暴きたてるだけ暴きたてた新一にもその責任を問われる可能性が高くなる・・・というようにだ。

そんな園子のらしくない真剣な様子に最初こそは蘭は大げさじゃないのみたいに軽く言ったのだが、中学の頃に見られていたような軽さを全く見せずに大げさじゃないから言っていると返した事に、流石に二人も頷かざるを得なかった。ここまで園子が言うという事は本当に冗談ではなく問題に発展しかねないと感じさせられ。

そしてその上でルークの保護者として共に日本に来た人物にも会ったというか会いに来たのだが、笑顔で丁寧に沈黙をしてほしいと尋常じゃない圧をかける金髪のイケメンに二人はただ頷くしかなかった。それだけ保護者としての役割からして二人が口を滑らせることを警戒して、本気で何も言わせないようにしたいのだと否応なしに理解させられた為に。









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