焔に触れお嬢様の目は変わる

「・・・おじ様もその顔を見れば分かるけれど、新一君の為にそんなことをやるなんて嫌でしょう?というか私も気付かなかったから言われたくないかもしれないけど・・・今までの自分の活動が新一君が自分が目立たない為にって隠れ蓑にするためのもので、それを今知ったのって決して良くない気分だろうって思うんだけど・・・」
「そりゃな・・・いきなり首筋にチクッとした痛みがきたって思って、それから少しして目が覚めりゃ事件は俺の推理のおかげで解決出来たなんて言われて、俺は何がなんだかわかんねーままでありながら事件が解決したんならそれでいいかとか寝てる間は俺の秘められた力が解き放たれてるとか都合よく思ってたが・・・その種がこいつで理由が今話したような中身だなんて聞かされて気分なんか良くなるわけねーし、これからも眠らされるだとかそうされねーにしたって操り人形にされるなんざゴメンだ」
「ちょっと分からないのお父さん!?今のお父さんの立場って新一が行動したからだってのもそうだし、仕事もそれで出来てるの!だから新一に協力しなかったらお父さんに仕事なんて無くなるのよ!?」
園子がその様子を見て確認を取ると小五郎は不機嫌さを盛大に滲ませて返すが、蘭が新一の為という気持ちを滲ませつつ小五郎の考えが間違いだというように叫ぶ。
「・・・今のまんま新一にそうしてもらって名前が売れて仕事があるのがいいみたいにお前は言いてーのかもしれねーが、分かってんのか?それはつまり新一が元に戻りゃこいつはここから出てって、俺はこいつがいなくなったら認めたくねーが表向きには推理が出来なくなって上がった評判に名前が落ちることになんのは想像出来る・・・なのにそうなる未来を承知の上で更に評判を上げて、こいつが元に戻った後俺が更に叩き落とされるなんて結末になれってのか?」
「「っ!?」」
だが冷たく低く落とした声で小五郎が返した答えに、蘭だけでなく新一もたまらず目を丸くした・・・今のままが続くならまだしも、それが終わったならと仮定した先にある小五郎の未来は決して明るくない・・・そう小五郎自身が考えて言葉にしたこともそうだが、二人も失礼な話だと理解しつつそれを否定出来ないと感じてしまったことに。
「・・・俺だってこんなこと言いたくねーし、そうだと認めたくもねーんだよ。けどそうしてこいつの為になんてやってどうなる?百歩譲ってこいつが元に戻れる未来が訪れるにしたってそれがいつになるかなんざ分からねー上に、それまでにどれだけこいつが事件を解決して俺の名前が売れるかなんか想像もしたくねぇ・・・そして何よりもう今の時点で俺の名前ってのは前となんか比べ物にならないくらいに売れちまってて、今こいつが離れただけでも俺がどんな風になるのかなんてのはもう嫌でも想像がつくんだよ。俺はもう名探偵毛利小五郎でなんかいられなくなって、その後これまでのあれはなんだったんだって言われていくのはな」
「お、お父さん・・・そ、そんなこと・・・」
「お前今言っただろ。新一がいなくなれば仕事なんて無くなるって・・・想像でしかねーけどその通りだよ。ただそれを新一を助けたいからって延ばした所で変わらねーどころか、今言ったように俺が名探偵って期間が長けりゃ長いほど俺もそうだしお前も間接的に辛いことになんだぞ。俺の評判が落ちて仕事がなくなりゃ、そんだけ色々と俺に関して長く言われることになんだからな」
「っ・・・!」
そうして小五郎も自身で話しつつテンションを低くしながら話していくその中身に蘭は何とか否定を返そうとしたが、続けられた間接的な被害についてに言葉を失わせるしかなかった。自分のことなど一切考えていなかった蘭だが、娘であり現在別居している英理という母親と違い同居している立場上、知らぬ存ぜぬに見て見ぬふりは出来ない位置にいることを理解して。









.
13/31ページ
スキ