焔に触れお嬢様の目は変わる

「・・・蘭。あんたからしたら新一君の事を見捨てるのかみたいに私が言ってるように聞こえるかもしれないけど、これに関しては新一君のワガママを聞きたいなんて言うのは望まれる事じゃないわ」
「どうしてそんなことを言うのよ園子!?確かに新一が私達に自分の事を言わなかったのはどうかと思うけれど、なら私達がどうにか新一を助けようって思わないの!?」
「助けたいって気持ちだけなら全くはないとは言わないわ。一応昔からの縁もあるから、どうにか出来るならしてあげたいともね・・・けれど今新一君から話に聞いたからその黒づくめの男達に関することはともかくとして、『江戸川コナン』の証拠集めをした人達の話だと体を小さくしたかクローン人間かどっちかにしたって、そう出来るだけの技術力だったりを持ってることもそうだけど・・・とても表に出せないような事をしている人物達がそれなりの規模の組織で活動してないと、まず出来ることじゃないって話に出てきたのよ。ヤクザとかそんなよく聞くような反社会的な組織じゃなく、本当の裏社会の中でもかなり深い位置に属するような組織が絡んでるんじゃないかってね」
「っ・・・そ、それがどうだって言うのよ・・・それでも新一はその人達を追い掛けたいって言ってるし、助けたいって気持ちがあるならどうにか鈴木財閥の力も使って助けてよ・・・!」
「・・・はぁ・・・」
園子はそこで道理を説く事からいかにその男達が危険な存在なのかという話をしていくのだが、最初の怒りの声こそは勢いは薄れたもののそれでも新一を助けるようにするようにと言ってくる蘭の様子に深いタメ息を吐く。
「・・・蘭。新一君は優作さんに助けを求めようと思ったら助けを頼めた立場にいたのよ。なのに自分でその男達を追って捕まえたいからってそれはしないっておじ様を利用する事を選び続けてきたのよ?・・・今ここで事実を聞いた印象として言わせてもらうと、新一君が言いそうなこととしては自分や灰原の事実は黙ってくれって事に加えて、奴らの情報が入ってきたら報せてくれるだけでいいからこれまで通りにしてくれ・・・っていう極めて自分本意な事でいて都合のいいことしか言いそうにないって私は感じたわ。保護なんてされたくないし鈴木財閥の主導でも動かれたくない・・・あくまで自分の力だけで動いて奴らを捕まえて元に戻りたいんだみたいな気持ちでね」
「っ!!」
「・・・その反応からして園子の推測は間違ってなかったってとこか・・・」
そうしていかに自分がどういった風に新一が考えて発言するのか・・・疲れたようになりながら園子は自身の考えを口にして行き、新一が大きく体を揺らして顔色を悪くしたことに小五郎が眉間に盛大にシワを寄せた。それが正解だと分かるリアクションに気分を悪くしたというよう。
「・・・分かる、蘭?蘭は新一君に元の体に戻って欲しいって思ってるのは分かるし、手伝いたいとも思ってるのは分かるわ。けれどね・・・話を聞いた上で今の反応を見たのもあったからこそ言えるけど、新一君のやりたいようにやらせることを優先させたいなんて私は思わないわ。特に私も時々眠らされて探偵役にされてたってのもそうだけど、主におじ様を新一君の身代わりの探偵役にさせ続ける事を考えるとね」
「「っ・・・!」」
だからこそ・・・園子が静かに投げ掛けていった言葉達とその最後に、蘭も新一もハッとして揃って小五郎に視線を向けた時に息を呑んだ。そこにあった小五郎の顔にはより深い怒りを我慢する感情が見えていたからだ。









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