焔に触れお嬢様の目は変わる

「お前らが怪我をして治療してる最中に二人に言われたんだよ・・・今回の事件に関しちゃ流石に死なずに済んで無事だったから、それでいいで済ませていいわけじゃないと思う。それこそルークがいなかったらマジで全員死んでてもおかしくなかったってのに、めでたしめでたしでいいわけじゃねーってな・・・それでルークが園子にあることを頼んだってんだが、それが何か分かるか?」
「えっ・・・えっと、な、何を頼んだの・・・?」
そのまま意味深に話を進めていく小五郎から出てきた問い掛けの言葉に、新一は困惑に首を傾げるのだがその様子にルークはたまらず左手で顔を覆っていた。



「・・・わかんねーなら言ってやるが、保護者への連絡だよ。ただお前や灰原に関しちゃ俺にってんじゃなく、お前や灰原の本当の親にって形のだ」



「っ!?」
・・・そして続けられた小五郎からの言葉に、新一は驚愕に目を見開くしかなかった。何故なら『江戸川コナン』という存在には新一の親である工藤有希子が扮した『江戸川文代』という人物がいるが、『江戸川コナン』共々実際には存在しない架空の人物であり・・・『江戸川文代』の連絡先など有希子に連絡すれば事足りることな上、小五郎や蘭も『江戸川文代』に連絡したいと言い出すこともなかったため、わざわざ用意してあるはずがなかったために。そして灰原に至っては親の存在などこういう名前の親がいると設定すらしていなかった。
「えっと・・・どうしてそんなこと考えたの・・・?」
「・・・最初私はルークから子ども達の親に連絡を取って注意したいって言われたのよ。前から何回も事件に巻き込まれてるってのは聞いてたけど、今回は自分が間に合わなかったら本当にどうなるか分からなかったってことをちゃんと言いたいって」
「・・・けどコナンや灰原に関しちゃ他の子ども達と違って親の元にいるわけじゃねーし、コナンに至っちゃ毛利さんに何回も叱られてたり危険な目に会ってても懲りた様子がないって話に聞いてたからな・・・だから灰原は巻き込まれただけにしても、コナンも含めてちゃんと話が出来るようにしてくれないかって園子に両親の連絡先を調べられないかって頼んだんだよ。話に聞いたコナンの感じだとコナン本人に連絡先はって言っても親は呼ばなくていいとかごねだす事もそうだけど、反省したからって言うだけ言って結局同じようなことが起きたら同じようなことを繰り返すだろうって思ってな」
「・・・確かにそう言われると今までそんなことは何度もあったから、コナン君がもうそうしなくなるなんて思えないかも・・・」
「っ・・・!」
ただ蘭は一人理解出来ないといったような声を首を傾げながら漏らすが、園子と手をどけ疲れたように漏らすルークの言葉を聞いて強く否定出来ないと言う中、新一は分かりやすく表情をひきつらせていた。
「・・・それで病院に俺が来た時に二人からその話をされた訳だが、そこである問題があったことを園子の嬢ちゃんから聞いたんだよ」
「・・・問題って?」
「・・・鈴木財閥が調べても『灰原哀』って名前の子どももそうだが、『江戸川コナン』に『江戸川文代』っていう人物がいないって結果が出たんだとよ。戸籍だとか連絡先だとかをいくら探しても見付からないって形でだと」
「っ!?」
「っ!」
・・・そして核心はここだと言わんばかりの小五郎の真剣な声に蘭は驚愕し、新一は顔色を悪くして静止する以外に無かった。目的を果たした上で元の体に戻った後も黙り通したかったことが、まさかの形で露見したことに。









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