焔に触れお嬢様の目は変わる

「うるさいなぁ・・・彼が来たんなら彼からと思ったけど、近いし君から殺すよ」
「っ!」
そのまま優男は頬をたまらず押さえる新一に冷たい目と声、そしてナイフを向けて殺害を宣言した事に新一はたまらず絶望に目を見開く。そしてそのまま優男はナイフを突き刺そうと新一に向けて押し出す。



‘バッ’
「なっ・・・!?」



「「「「っ!?」」」」
・・・だがそのナイフが新一を貫くことはなかった。何故ならルークが目にも止まらぬ早さで優男に近付いて、ナイフを握った手を自身の左手で掴んでいたからだ。
その様に優男の余裕の表情が初めて崩れ、新一達も驚愕の表情を浮かべるのだがルークはそのまま真剣な表情で優男の腕を捻り上げて体を宙に浮かせ・・・



‘ダァンッ!’



「が、ぁっ・・・!」
「「「「っ・・・!」」」」
・・・そしてそのままルークは右手を胸元に当てて床に勢いよく優男を叩き付け、優男は苦悶の声を僅かに漏らした後に痛みに顔を歪めたまま気絶した。
そんな蘭を倒した優男のあっさりとしたやられ方に新一達は唖然とするが、ルークは優男に注意をしつつも新一達に目を向ける。
「・・・取り敢えずお前らは園子達の所に行ってくれ。事情の説明もそうだしコナンの傷の手当てとかも必要だろうから、この人はすぐには起きないだろうけど一応俺が見張っておく」
「え、えぇ分かったわ・・・ほら、行くわよ皆・・・」
そのまま真剣な眼差しと声でこの後の行動についてを指示するルークに、灰原が戸惑いつつも頷き先導をしたことに新一も含めて動揺覚めやらぬといったままにこの場を後にしていく。


















・・・それから少しして他の場所にいた面々がルークの元に来て、その場で優男が犯人であるという事実が明らかになった上で起きたことを聞いて一同は騒然とした。コナン・・・というか新一が深く顔を傷付けられたというのも相まってだ。

ただそれでも優男をルークが撃退した上で縄による捕縛が済んでいるということで、他の面々は安堵の様子を浮かべて警察の到着を待てるという様子になった。



「・・・本気、ルーク?」
「あぁ、頼む園子・・・流石に今回の事を考えると、話に聞いたような事にしてちゃいけないって思ったんだ・・・面倒をかけるけど、特に蘭の事を考えると蘭なら大丈夫とかもう言えないだろ・・・?」
「っ・・・分かったわ・・・すぐにそうするようには連絡はするから・・・」
・・・そしてその中でルークは空いた部屋にて園子と二人きりになって誰にも話を聞かれてない状態の中、秘密の話を真剣に交わしていた。これからの事についてを・・・


















・・・そうして少ししてペンションに警察が来て優男は連行され、新一はその顔の傷が大きいということに蘭も重い攻撃を受けたということからすぐに病院に行って怪我の治療をすることになり、ルークに園子は二人の付き添いで残り他の子ども達は家に戻るという運びになった。

それでそうして二人の検査待ちをする形で病院にいたルーク達の元に、蘭の親であり新一を『江戸川コナン』という存在だと何も知らされずに認識させられている小五郎が慌ててやってきた。二人の事というか、蘭が攻撃されてダウンしたと聞いていてもたってもいられなくなったというようにだ。



「・・・すまねぇルーク、感謝する・・・お前がいなかったら蘭達がどうなってたか・・・」
「気にしないでください、とは言えません・・・今回はたまたま俺が何とか出来たから良かったですけど、いつも俺も蘭やあの子達と一緒にいれる訳じゃないしタイミングが悪かったら俺も間に合わなかったかもしれないんで・・・」
「っ・・・そう、だな・・・確かに俺も蘭なら大丈夫だとか思ってたが、今回の事を聞いて流石に肝を冷やしちまったからな・・・」
・・・そうして一連の流れについて話を聞いた小五郎は深々とルークに頭を下げるが、ルークが首を横に振った後に続けた言葉にたまらず苦い顔を浮かばせる。話から本当にタイミングを少し違えていたなら新一や蘭達もまた物言わぬ死体へと変えられていただろうと小五郎も感じた為に。









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