焔に触れお嬢様の目は変わる

(く、くそ・・・蘭がこんなことになるなんて・・・!)
そんな光景に新一は歯噛みしつつ、たまらず蘭と呼び捨てにしたことを気にする余裕などなく内心でまさかというように考えていた。蘭の空手の実力は知っているからこそあっさりやられたことを信じられないこともだが、そんなことをしでかした優男に対する怒りもあって。
「さ、時間もあまりないことだしもう止めを刺そうかな」
「っ!(まずい、ナイフを出した!迷ってる暇はねぇ!麻酔銃で動きを止めないと!)」
だがその優男は然程間を置かずに懐からバタフライナイフを取り出して刃を出して歪んだ笑みを見せたことに、新一は腕時計型麻酔銃を構えて狙いを定めて発射ボタンを押す。
「ん・・・」
「なっ・・・!?」
だが発射された麻酔針は優男が首を横に振った事により狙いが外れて空を切っていき、新一は唖然としてしまった。まさか避けられるとは思っていなかったと。
「フフ、その様子だと何かその時計は特殊な時計のようだね。ただ君が僕を狙う意識みたいな物を感じたから咄嗟に避けたんだけど、その様子を見る限り避けて正解だったようだ」
「ぅっ・・・!(なんなんだ、この人・・・こんなにすごいなんて・・・!?)」
優男はその様子にそのままの笑みを新一に向けて避けれた理由を口にすると、口ごもるしか出来ない上に内心ではその反応にどうしてこんなことが出来るのかと混乱するしかなかった。予想外の連続が続いたことに。
「・・・まぁいいか。順番が前後するが、大した違いじゃない。まずは邪魔した君と他の子どもから殺してあげよう」
「ヒィッ!?」
「っ!(まずい!代えの麻酔針のセットの時間なんてないし、今撃ったって確実にかわされる・・・!)」
だがそこで留まらずに新一達にターゲットを変更だと近付いてくる優男に少年探偵団の一人の歩美の悲鳴があがり、新一はまず自分ではもう状況の打開が出来ないということを理解して顔色を青くした。自分も自分達も、そして蘭もこのままでは殺されてしまうということに。
「・・・大人しくしておいた方がいいよ。変に逃げようとしたら痛くて苦しむだけだからね」
「「「「っ・・・!」」」」
そして程無くして優男が新一達の前に立って怪しく言葉をかけると、新一もだが他の子ども達も動くことが出来なかった。新一と灰原という少女は残り三人を守る為にせめてと前に出るが、残り三人は涙を浮かべて恐怖に震える形で。



‘ガチャッ’
「・・・おい、何かあったのか?妙な声が聞こえてきたけど」



「っ、ルーク!」
・・・そんな時に唐突に部屋の入口の扉を開いて現れたのは赤毛の青年で、新一はたまらずその名を呼び捨てで叫んだ。このペンションは元々新一の蘭とは違うもう一人の幼馴染みと言ってもいい存在の園子の親の所有する物件であり、その園子の誘いで新一達と共にここに来た鈴木家に高校の三年の間ホームステイすることになって、元の体では共に同じ高校に通っている外国人の名前を。
「おや、君は・・・」
「ルーク人を呼べ!この人が事件の犯人だ!蘭もやられたから皆でどうにか」



‘スパァッ!’



「うぁっ・・・!?」
「コナン君!?」
優男も当然ルークに気付いて新一が叫ぶように声を上げるが・・・優男は唐突に新一の顔を切りつけ、新一は頬に大きな傷をつけられ血を吹き出させられて歩美は悲鳴同然の声を上げた。いきなりの予測もしていなかった友達が傷つけられた光景を前にして。









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