焔に触れお嬢様の目は変わる

・・・鈴木園子にとって小学校に入る前からの仲である毛利蘭と工藤新一は友達と呼べる間柄であった。その二人が長い間互いに想いあっているのにくっ付きそうでくっ付けず、そういったやり取りに園子が主に蘭に対して茶々を入れたり背中を押そうとしたりするようなふざけあえる関係だ。

その上で園子は顔にスタイルのいいカッコいい男・・・いわゆるイケメンが好きであり新一もその条件を満たしているが、蘭の想い人であることに加えて新一が自分は探偵だと宣言して事件に首を突っ込み解決をしていくことや推理以外の趣味は精々サッカーを時たま見たりプレイしたりすることで、それも自分からそうしようということもそんなにない・・・そんな物だった為に新一のことについては長い付き合いもあって、恋愛対象には端にもかすらないレベルの存在であった。蘭からしたなら気分は良くないというのを承知で言うなら、事件や推理さえあればいいようなオタク気質な部分にはいくら顔が良かろうが付いていけないと見てだ。

しかしそれでも園子にとっては昔からの仲であるのだし、悪い人物達ではないのは知っている。だからこそ昔からの縁は続けてきたし、気分も良かった。鈴木財閥のトップ夫婦の次女として生まれて色眼鏡で見られる事も多かった中、一人の人間として対等に接してくれる二人との交流は。

だがそうして過ごす中でどれだけ新一達と共に過ごす時間に慣れてきたのか・・・いや、感覚が麻痺していたのか。それを園子は高校の始まりの前から自覚していく事になると共に、一人の男に恋をしていくことになる・・・そして二人との距離が少しずつ離れていき、決定的な別離を果たすことにもなる形で・・・



















「うぅ・・・っ・・・」
「蘭!」
「蘭お姉さん!」
「ハハ・・・自分の強さに自信ありといったようだが、残念だったね。大方僕の姿を見て格闘戦は出来ないと思っていたんだろうが、この程度訳ないさ」
とあるペンションの一室にて、床に倒れこんで苦悶の表情で声を漏らしている蘭とその蘭を見下しながら笑みを浮かべる線も体も細い優男。そんな光景を少し離れた場にいた小学生低学年程度の子ども達はたまらず悲痛な声を上げていた。



・・・とある殺人事件がとあるペンションで起きた。そしてその部屋の一室にて裏社会の人間に体を小さくされて『江戸川コナン』と名乗るようになって体を小さくされた新一と、そんな存在を新一の親戚と言われて預かってくれと言われた何も知らない蘭と、身分を隠すために小学校に通うことになった新一がそこで出会った少年少女達で結成した少年探偵団と・・・新一がペンションで起きた殺人事件の犯人だと推理した人物がいた。

他の人物達がこの部屋にいないのは新一が推理をしていく内に犯人が目の前の優男であることに気付いて用いられたトリックの解明を優男に突き付けようとし、その現場に連れていった際に少年探偵団と蘭も付いてきたからだ。そしてそんな状況で子どものフリをしながら犯人はお前だというように誘導していったのだが、そこでその優男がそうだと認めた上で笑いながら「バレたなら仕方無い、全員殺そう」というように言ってきた為、蘭が空手を持って撃退しようとしたのだが・・・その優男は蘭の拳をあっさり避けつつボディに強力なカウンターの一撃を放ったことで、蘭は床に倒れふしたのだ。









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