揺れぬ正義を持つ狼の目 後編

(・・・飛行機の時間はそろそろか。なら行くか・・・今度はいつ日本に来ることになるか分からんが、あれと出会うことがなければいいがな・・・)
そんな風に考えている内に電光掲示板に自分が乗る飛行機の時間の表示を見て、斎藤は煙草を備え付けの灰皿に押し付け火を消した後に喫煙スペースから出ていく。最後に新一と次には会わないならいいと軽い気持ちで思いながら・・・






・・・色々あったが斎藤としてはやることはやった上で、新一の両親に手綱を着けて首輪を填める形を取ることは出来たので最早新一にどうこう出来るような事はもう無くなったと言える状態にあると斎藤は見ている。下手に行動したなら公安は間違いなく動くだろうし、両親に状況打開の為の連絡でもしようものならインターポールも動くからと。

しかし条件付きとは言え新一は自由の身であり、その活動も公安の目に止まるような悪質な物でなければ大抵は認められる物となっていると同時に・・・新一が元の体に戻った以上はまた新一の推理力を頼りに、目暮達を始めとした公安を抜きとした知り合いの刑事達が事件の解決を求めて依頼をかけだすだろうことは目に見えていた。それこそ以前のように、自分達が手に負えない事件だから新一に任せようという、警察としての矜持やら意地など全くないような考えで動くだろうと。

だからこそ次に何か仕事で日本に来たなら、そんな警察から呼ばれた新一との再会などしたくはない・・・そう斎藤は思ったのである。あれと会って話す面倒など二度とゴメンだというよう。


















・・・それから日本で新一がどうなったのかについて、斎藤は耳にすることはなかった。その理由は斎藤の主だった活動の地はインターポールに所属していて日本以外がメインに動くことが普通で日本の情報が入ってこなかったのもあるが、数年越しに日本に仕事ではなく休暇として帰った際にニュースとして新一の事など出てこなかったからだ。

その為に斎藤はその時の休暇を蕎麦屋巡り(食べるのはかけそばのみ)に時間を費やして大いに羽を伸ばし、また外国へと仕事の為に戻っていった。

・・・だから斎藤は知らない。新一がそれまでの間どうなっていってどうしていったのかに、それからどうなっていったのかを。だが斎藤はそんなことを気にかけるつもりも考えるようなことなどもう無かった。何故ならもう斎藤にとっては組織の事も含めて全て終わったことであり、異常者染みたクソガキ程度の悪とも呼べない存在の事など最早自分に関わってこないならどうでもいい存在だからである・・・









END









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