揺れぬ正義を持つ狼の目 後編

・・・そうして赤井の事をFBIに渡した安室達だが、引き渡しの前にはFBIの今後の介入は認められる物ではないと伝えた。もうインターポールもそうだがCIAにも協力させることは確定はしているから手数は足りてる上、下手な人員を送られることは避けたいことに加えて信用が無いから協力したいと言われても許せる筈がないと。

故にFBIの介入が出来ないようにした上で組織を壊滅させた・・・そして残った新一に関しては色々と言った上で隔離場所から離したのだが、色々と厳しい言葉を言って条件付きでとは言え解放したのはむしろ破格な処理であった。言ってしまえば新一の立場以上に、その性格や思考回路から考えれば迂闊な事を言ったり行動しかねない可能性が否定出来ないからだ。

ただそれでも一応は組織関連の事にその体の事がバレるようなことになれば大きなダメージになるのは公安以上に新一の方なので、新一もそうそう簡単には下手な行動は取らないであろうとは安室達も見てはいる。だが絶対にそうなるとは限らない上に、外的要因も少なからず残っている。現に二人の話の最初に出てきた服部のことがそうであった。

一応というか、新一には他に君の正体を知っている者はいないのかと公安は隔離場所に入れていた時の初めほどに聞いていた。『江戸川コナン』がいなくなってしまったことから誰か妙な行動に出て、組織関連で何らかの秘密がバレかねない事を避けたいから知っている人物を教えてほしいと。

そう聞かされた新一は最初こそは口を開きたくないといった様子だったが、それでも何か行動をしそうな存在がいるからと服部の名を新一は挙げた・・・他にも何人か知っている人物はいるが、自分がいなくなったということを知ったなら間違いなく動くだろう人物は服部だろうと。

その為に公安は他はまだ行動を起こす可能性はまずないと見て、秘密裏に早く服部に接触した。ただ本人の性格もあって新一がそういった状況になったことに不満から抗議の声を上げたのだが、下手に行動してもインターポールもそうだが赤井を擁護しない側のFBIの不興を買いかねないこともだが、この事で下手に行動したなら服部の父親・・・府警の本部長も巻き込んで公安との関係が最悪になりかねないと告げれば、流石に苦い顔をして引くと答えざるを得なかった。この辺りは流石に親にまで迷惑をかけることは望ましくないと思ってだろう。

そして時間が経って新一を戻した後、安室が直々に服部へと会いに行って小五郎の事も含めて話をしに行くと・・・色黒の顔を青くしてこの事は表沙汰にはしないし工藤にも話をすることはないようにすると頷いた、というよりは頷かざるを得なかった。この辺りは以前の話もあるが、やはり小五郎の立場やら心境を考えれば下手な慰めやらは出来ないと見たのだろう。

まぁそれで一応は服部に関しては大丈夫だろうとなった上で水無の弟にも水無を介して口止めをしたが、出来るなら公安としては口止めをしたい相手はまだいる・・・それは主に世界を股にかける大泥棒の一味だが、こちらは簡単に捕まるはずもない事から組織の事を言わないでくれと願うしか出来なかった。最も、盗みをする場合にも殺人やら過激な手段を取らない上に盗みをするとの声明以外を発表するような事はないことから、そんなことはまずしないだろうとは見ている事からそこまで心配はされてはいないが。

・・・そういった過程を経て安室達公安は一抹の不安こそは抱えるものの一通りの後始末は済んだが、その一抹の不安の中には新一が罪悪感だったりから暴走やらしかねない可能性がある。だがその場合はもう新一を即座に捕まえて処分を下す予定である。一応は条件付きで解放したのにそれを反古にされるような行動を取られれば、もう容赦する気はないと安室も考える形で・・・









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