揺れぬ正義を持つ狼の目 後編

「・・・一先ずこれで終わり、か・・・インターポールにあの斎藤という人物との関係は・・・そしてポアロ以外で会うこの蕎麦屋での会合も終わりだが、僕が頼んだ他の料理はつまむこともつまむが何であの人はかけそば以外頼まなかったんだろうか・・・本人いわくかけそばが好きだからとの事らしいが・・・」
そうして一人になった安室は振り返るように一人言を漏らしていく中、頼んだ料理を見ながら何故と漏らす・・・かけそば以外の料理を頼まず、自分が何か気を使って色々頼まねばここでの食事があまりにも簡素になって、ポアロ以外でゆっくり時間を取り話をする段取りの場として使っていたここの人々に怪しまれる可能性を考えていたような様子を見せていなかったことに。
「・・・まぁそこに関してはともかくとするが、こちらとしてはいくらか血を見ることにはなったが成功と言ってもいい結果だった・・・それに俺としても赤井に痛い目を合わせる事が出来たのは悪くなかったと思えた上で、FBIにも多大に影響を与えることが出来た・・・まぁ新一君には今もだがこれからも辛い事にはなるだろうが、彼がやってきたことを考えればむしろ今の立場にいれるだけマシだという斎藤さんの言葉を考えて、次に何か問題を起こすまでは放っておくしかないな・・・出来ればそんなことになってほしくはないがな・・・」
そんな斎藤についてはさておきと考えを別の方向に移行させていく中、安室は新一に対して何もしてほしくはないと表情を曇らせながら漏らす。そんなことにはならないでほしいと。






・・・安室というか公安は新一を隔離場所に入れた後、赤井に対しての処置を手早く進めていった。こちらではこんな証拠を手に入れたが、そちらはどうするのかというようにFBIに突き付け以降の動きを制限する為にだ。

そうしてFBI側に連絡をして赤井に関してどうするのかと話していったのだが、FBI側の返答は・・・赤井達がやったことに関しての非礼を詫びた上でもう二度と日本に来させるようにするから、こちらに内密に身柄を引き渡せるようにしてほしいというものだった。

そんなFBI側のあっさりとした全面的な非を認める姿勢に安室達公安は訝しむ気持ちを隠さずどうしたのかと聞いたのだが、同じく日本に行っていたジョディ達の赤井もそうだが『江戸川コナン』となっていた工藤新一についてを報告してこないばかりか、擁護した上で保護しようとするような考えなど一切なく、逆に赤井の解放の交渉と共に自分達の再度の日本行きの許可を得ようと息巻いてきた事に・・・そちらにジョディ達を派遣したならまた独断の行動を取りかねないという懸念がある上で、赤井が日本にいること自体がそちらにとってもこちらにとっても良くないことになりかねない事から赤井を引き取りたいと思った・・・との返しだった。

そのFBIの返答に安室達は相当に赤井達の独断の行動及び考えに頭を悩ませたのだと考えた上で、赤井の身の引き渡しはどうするのかというように問い掛けた。偽装の死を印象付ける事もあって死亡届けは既に受理されたというのに、FBIにその身柄を引き渡すためにだけにその死亡の処理を撤回させるような事をすれば組織に勘づかれかねないと伝え。

その問い掛けにFBIは指定した海外船に密航という形で乗せれるようにするから、そちらに乗せてくれるようにしてほしいと言ってきた為・・・それを了承した。そのやり方に関してはどうかと思う部分は無いではなかったが、やはり赤井を表舞台に出すようなことになったら色々と台無しになるということを考えた上で、公安としても必要以上に赤井を隔離場所に置いておけば悪あがきから何か仕出かしかねない・・・ということも有り得ると考えたが故にである。

その為赤井は新一が知らぬ間に隔離場所から連れ出され、とある港に来た船に夜中に極秘に乗らされる形で外国に向かわされたのであるが・・・その際には死体の偽装の事は最早公に出来ない上に記録改竄をしたら誰かがその事実に気付いたら面倒だから、もう赤井秀一は公には死んだままの人間となるから日本には来れないということもだが向こうでもそうなることは覚悟しておけ・・・と忙しいということから現場に来れなかった安室が電話越しに言うと、赤井はたまらず苦い顔を浮かべるしかなく船に乗せられていった。最早FBIに戻っても居場所があるかも怪しく、更には日本にまた戻る事などそうそう簡単には出来ないどころではないことを理解させられた為に・・・









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