だがそんな新一の顔を見て平然としながら、もう小五郎は既にそれらの話を受けて蘭もそうだが英理とも話をして、表向きは長い期間を医者の勧めにより県外の病院で療養しなければならないという事から蘭を英理に頼んで、実際はここに来たのだと安室は告げた。そこで探偵事務所を片付けるであったり色々と急ぐような事をしてはきたが、それは悠長にしていたなら名探偵毛利小五郎の評判を目当てに依頼を出される可能性があったから早く行動したのだと。

ただ勿論というかその際には安室も隣にいた上で、『江戸川コナン』に関して親元に戻ることになったから、「場に居合わせたこともありますし毛利さんには世話になりましたからコナン君の荷物の片付けは自分がやります」といったよう話を進めたと安室は言った。

これは言い方は悪いが小五郎が何らかから口を滑らせることも有り得ることに加えて、精神的なショックが明らかに見てとれたのがあったのもそうだが、何より小五郎一人だけでやるよりも安室という証言者がいた方がそれが嘘ではないと見られる可能性が一気に高まると見てである。『安室透』という爽やかでしっかりしたイケメンがそんなことを言ってくれるなら間違いはないだろうというように印象付ける形でだ。

それでそうして『江戸川コナン』の後始末、小五郎の表向きの入院、探偵事務所の片付けと全て済ませてここに来たわけだが・・・そこまで聞いた新一はまだ衝撃から立ち直れないままに、これからおっちゃんはどうなるのかと恐る恐る聞いてきた。もう今のこの時点で探偵を辞めることになったばかりか、蘭を英理に預けて知った事実を黙って暮らさねばならない・・・という起きた事実を前にして、これ以上話を聞きたくないが聞かないと話が進まないという相反するような気持ちを抱いているのが丸わかりな様子で。

そんな疑問に一応は働く場はこちらで用意はするが、勿論というか秘密裏にではあるが公安とも関係のある場所でいて、探偵を始めとしたような客商売をするところではない場所に行ってもらうと安室は返した。これからの事を考えれば客商売となればどうして探偵は辞めたのかという質問が度々向けられることもそうであるし、一応は黙っててくれるとはいえ知られてはまずい情報を知った事への監視の意味も込めてそうするのだと。

その答えに複雑さを顔に出してしまい全く隠せなかった新一だったが、今すぐにはそうはしないとも安室は返した。明らかに小五郎はまだ気持ちが落ち着いていないのは見て取れる上に、あまりにも早くに帰しては蘭に怪しまれる上にまた同居生活になる可能性があるからと。

ただそこで新一はその同居生活についてまた蘭と暮らすことに難色を示しているかのような物言いに、何でなのかというように疑問をぶつけた。小五郎の性格上蘭と一緒に暮らせなくなることを望むはずがないだろうと。

しかしそこで安室が口にした斎藤からの助言と前置きをした上での返しに、新一は絶句せざるを得なかった・・・それは新一が元の体に戻れるか戻れないかはまだ決まってないが、一年が経っても戻らないのであれば工藤夫妻に引き取ってもらうことも含めてここから条件付きで出すことは確定はしてはいる。そして元に戻れたとしたなら同じように条件付きで出すことは確定はしているが、小さいままで夫妻に外国に連れていってもらうなどしない限りはその時に哀れな事になるのは・・・まず積極的に新一と関わりに来る上で、何も知らないままに接していくだろう蘭の父親である小五郎だろうと。









.