揺れぬ正義を持つ狼の目 後編

そんな新一の表情を見た後、安室はこう続けた。薬を飲むという意志は確認したが、そうするというのであれば以前に話したが組織や組織関連の事柄や関わった機関に関しては絶対に口外したり、誰かに伝えるようなことはしないしこちらの言うことをちゃんと聞いてくれると約束しなければ薬は渡すことは出来ないと。

その言葉に新一は前半はまだ前にも言われたから分かるが、薬を渡せないという部分はそれほど自分の事が信用出来ないのかと安室に言ったのだが・・・そうだと肯定されると共に、現在の外の状況もあるからだと返された。宮野はこの通り今もまだここにいるが、阿笠は元々の立場もある上で『沖矢昴』に『灰原哀』についての誤魔化しの為にちゃんと一連の事を黙ってもらうようにしながら、その説明を周りにさせるのも兼ねて先に元の家に帰したのだと。

そう聞かされて阿笠が先に帰されてそうさせられていたのかという驚きが新一にあったが、そんな中で薬を飲んで体が元に戻って家に戻って自分基準で勝手に行動されて阿笠と食い違った発言をされたら困るからこそ、勝手な発言をされないためにも薬を飲むならちゃんと約束を守るように言っている・・・と安室から言われ、流石に新一もそこには納得するしかなかった。現在外で新一達の事情を知っているのは阿笠一人なのだから、それに合わせなければこちらも面倒になりかねないのだと。

そしてその話を聞いた上ですぐに新一は話を合わせるようにするし秘密も守るからと言い、それならということで新一に薬が渡されて一週間程経過の観察を兼ねてそれから解放するとまた部屋に戻されることになった・・・その際に完全に冷えた視線を向けていた斎藤のことや、他の事になど一切気付けず。


















・・・そうして部屋に戻った新一が薬を飲んで元の体に戻り、一週間が経った。それで体が元に戻らない事を確認した事で部屋から新一は出され、安室一人と対峙することになったのだが・・・そこに斎藤もそうだが宮野がいないのは何故と気になった為に聞いてみたのだが、斎藤はここにいなければならない必要がないために席を外していると言われたが・・・宮野に関しては新一が大丈夫だと確認された時から以前から決めていたこととして、もう公安に身を寄せてこれ以降は新一達と関わることはしないようにするから姿を見せることはもうないと返された。それも本人の意志からと。

その答えに絶句する新一だったが、薬の事を研究する環境を整えてもらっている関係上新一より公安の人間と共に過ごす時間があった宮野は、以前からこの事については話し合っていたと安室は言った。いかに事情があろうと組織の一員としてその活動に加わっていたことには違いはない上で、違法な活動をしていたことにもまた間違いはない・・・だから新一の薬の効果を見届けたなら、もう自分は牢獄に入ることも含めて新一達と離してほしいと願い出たからそうしたんだと安室は返した。

新一はそう聞いて何故だと唖然としながらも漏らすしか出来なかった。新一からすれば共に組織を追う中で同じ目的を持って動いてきた仲間であり、元に戻ったならこれまでとは違う形で今までのように交流しながら過ごせるだろうと見ていたのだろう・・・しかしそんな様子を見た安室から宮野さんがそう決断したのは斎藤さんからの話を聞いたからだと伝えられた。その話から宮野はもう新一達の身の回りにいるようなことはしない方がいいと決断したのだと。









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