揺れぬ正義を持つ狼の目 後編

・・・公安とインターポールの影での協力体制が整い、FBIと工藤家の面々に事実を知る者達の身柄及び自由の拘束が済んでから数ヵ月の時が経ったのだが・・・結果だけを簡単に言ってしまえば、彼らが追っていた組織はその数ヵ月で完全に壊滅をすることになった。

勿論それらの過程において全て順風満帆に進んでいった訳ではないが、今までに手に入った情報をまとめたこともそうだが公安とインターポールの協力体制が取られたことに加えてCIAにも協力・・・させたことで、一気に組織のトップの正体やその居場所を把握して幹部達の動きも知る事が出来たのだ。

故に公安とインターポールの二つの機関は協力しあい、CIAには補佐という形で動いてもらった上で幹部にトップ達を一斉に捕縛する為の決戦を行い・・・一切の血が流れないような完全勝利とまではいかなかったものの、厄介と見られていた幹部にトップはことごとく捕らえられて命令する頭がいなくなったことにより、各地でカモフラージュされていた組織の施設にいた者達に関しても上がいなくなったことによりほとんどが降伏せざるを得ない状況となったことで、壊滅の一途を辿る事となっていった。

そしてそんな状況の中で新一以下何人かの体を小さくした薬のデータが見付かり、それらをコンピューターウィルスが発現しないようにして持ち帰る事が出来た上でその薬を研究したことにより・・・完全に元の体に戻れる薬が出来上がり、それら数名はその薬を飲んで元に戻るのだが・・・その数名から言わせるなら、決してそれでめでたしめでたしとなるような物ではなかった。特に新一に関しては・・・


















「ねぇ新一~・・・まだ時間取れないの~?」
「悪い、蘭・・・今まで休学してた分の時間が多すぎて出された課題をやりきんねーと留年になっちまうんだ・・・けどその数が多くてしばらく出掛けるだけの時間が取れねーんだ・・・」
「もう・・・事件を追うからって学校に来なさすぎだからだよ・・・」
・・・とある日の工藤家のリビングにて。
テーブルにいくつも並べられたプリント類と向き合いシャーペンを走らせていく元の姿に戻った新一に家に入ってきた蘭は不満を口にしていくが、顔を合わせることなく無理だと返す様子により不満げな表情を浮かべる。
(・・・これだけの課題をこなさなきゃならないなんて、マジでキツい・・・!)
そして当の本人である新一は声では平静を装っていたが、内心では相当に弱音を吐いていた。実際には蘭に対しての外面を張り付けているだけというよう。






・・・今新一が苦しんでいる課題は元の体に戻ってようやく完全に復学するとなった際に、担任も含めた教師陣から呼び出された際に渡された物である。要約すれば時々学校に来ていたが、それでも今までの欠席日数から考えれば君はもう留年が確定したものとして扱っていいレベルにある・・・しかし君が事情ありで欠席したとは聞いているから、こちらが作った課題をクリア出来るなら留年にせずに進級出来るようにしようといった物であった。

新一はそう聞かされて調子のいい言葉を口にすることは出来ず、それらを受け入れる以外に出来なかった・・・何せ普通の高校では一年に登校する内の三分の一休みだったなら留年と判断してもいいところを、それを余裕でオーバーしていたのに課題をクリアすれば進級させてくれると言ったのである。

確かに量が量なことは否定出来ないが、それでもその課題をやりたくないで蹴るような事をしたならそこで留年確定となる・・・それは是非とも新一からして避けたいことであった。だからこそ山のような課題と向き合い片付けていくしかないとテーブルに張り付いているのである・・・









.
2/24ページ
スキ