揺れぬ正義を持つ狼の目 前編

「ま、後はよろしく頼む。ここが日本で公安のお膝元というのもあるが、俺は部下は連れてきてはいないからそちらに後始末を任せる」
「それは任せてください、と言いたい所ですが・・・その前に個人的な質問をいいですか?」
「なんだ?」
それで後を任せると自分は家を出ようと足を動かす前に安室に質問と言われたことに、斎藤は先を促すように声を向ける。
「貴方が外国で生まれた日本人ではなく、純粋に日本で生まれ育った日本人であることは前に聞きましたが・・・何故貴方は日本の警察や公安に入らず、インターポールに入ったのですか?貴方なら公安に入ることも出来たでしょうし、僕も素直に貴方を受け入れることが出来たと思うのですが・・・」
「・・・なんだ、そんなことか」
そこから出た安室の言葉は自身の日本に対する気持ちも含んだ何故インターポールに身を寄せたのというものであり、斎藤はそっとタメ息を吐いた上で口を開いていく。
「別に警察で活動する考えが無かった訳じゃない上で、警察を嫌った訳ではない。ただ俺が優先したのは凶悪犯は日本より海外の方に腐るほどいるということから、海外で活動する為にインターポールに入っただけだ。別に日本も警察も嫌った訳でもなく、単純にそれを優先する形でな」
「・・・それだけ、ですか?」
「それだけと言えばそれだけではあるが、今となって言うなら犯人捕縛に関しての決まりが緩い今の環境が合っていることに加えて潜入捜査といった物は性に合わん。だから俺から言えばお前のようにバーボンとして組織に潜入捜査などは俺からすれば気は進まんかっただろうし、日本警察ではやりすぎだと言われるような事も度々やってきた。現に一応手加減はしたが、先程の赤井レベルの攻撃でも日本ではやりすぎだと言われていた可能性もあっただろうな」
「っ、あれで手加減していたんですか・・・!?」
「当然だ。本気でやっていたならどう少なく見ても赤井が再起不能になるくらいのダメージは確実だったろうな」
「っ・・・!」
斎藤はその理由についてを簡単に答えていくのだが、その中で出てきた手加減を示す言葉にたまらず安室は確認を取ったが特に感慨もなく肯定を返された事に絶句した・・・安室自身顔にも言葉にもしなかったが、赤井を捕らえたあの動きは安室からしても反応も抵抗も出来ないと実感させられる物だったが・・・それが本気ではなかったということに。
「ま、まだしばらくそちらと協力することだろうから時間がある時は話に付き合おう。じゃあ後はよろしく頼む」
「分かりました・・・」
そんな安室を気にかけることなく斎藤は今度こそニヒルな笑みを浮かべて背を向け入口に向かい、安室はただ複雑そうな表情でその後ろ姿を見送るしかなかった・・・安室からしたら頼りになる味方と今は言えるが、今の話から斎藤に底知れぬ何かを感じてしまった為に・・・









・・・それから数ヵ月後、事態は動いていく・・・組織を巡る環境もだが、新一の周りの環境に関しても・・・



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