揺れぬ正義を持つ狼の目 前編

「・・・ま、後は工藤新一が度々元の体に戻れていたカラクリとネタを吐き出させれば元の体に戻れる可能性とやらも一気に引き上げる事も出来るかもしれんからな。大方組織関連で何かあったからなんだろうが、あぁして時々ではあるが体が元に戻れていたことから何かしらの手懸かりはあるんだろう」
「そしてそれでどうにか出来るなら元の体に戻ってくれた方が都合がいいんですけれどね・・・これからの事を考えるなら、彼の行き先の事もありますからね・・・」
それで斎藤が話をまとめるというよう新一の体についてを口にし、安室は戻れるならいいと微妙に疲れを滲ませるようにしながら言葉にする。






・・・小五郎に新一と話をさせることについて、そしてその心を折ることを念頭に置いた対策を考えた訳だが、そもそもを考えれば『江戸川コナン』がこれ以降も存在すること自体が面倒なのだ。今までは戸籍のない『江戸川コナン』に注目する者などいなかったがこれからもそうだとは限らない上、どこかに放逐すると言っても誰がその身を引き受けるのかと言う話にもなってくる。

その為に斎藤達からすれば新一の体が元に戻ってまた工藤家に住むことが一番収まりがいいわけであるし、インターポールの調べから口外しないように言われていたのを調べた上で新一が時折体を元に戻して事件に関わっていたことから、元に戻れる可能性もあるだろうという認識をしていた。

その上で組織を追うことやFBIとの協力体制にあることから、組織を捕まえる気持ちもだが元に戻れる鍵があるのだろうとの認識があり・・・その上で話を聞いてその鍵についてを知れたなら、それを手に入れて元に戻るような手助けをしようとなった。

だがこれに関しては純粋な善意という訳ではなく、新一とは仲がいいというような関係ではないにしても敵対している訳でもない上、元の体に戻した方が色々収まりがいいから・・・ということからである。特に組織を壊滅させるだけ壊滅させ、元に戻すための鍵に関してを持っている状態でいたなら新一が諦める筈がないのは目に見えている。それで新一とやりあうというか、殺さないと最早事態がまとまらないというような厄介な事になる可能性も有り得るともだ・・・そういったことを避けるには元の体に戻せるなら戻すで済ませるのが一番妥当、という考えになるからである。

その為一応は斎藤達は新一の体を戻すことも視野に入れて動くつもりでいるが、安室達も数年単位で潜入して壊滅をさせることがいかに難しいかは身を持って体感している・・・その為、一年以内では成功しないことも視野に入れた上で新一を解放することは有り得るとも見ていた。その上でそうなったなら新一が助けを求めるのは毛利家以外にはないと言ったが、一応は両親ということからインターポールの権限を駆使する形で優作達に引き取らせに来させようというようには斎藤は考えている。

ただそれはあくまでも最終手段である・・・有希子はまだしも優作と新一を揃えればどうなるか分からないという危険性が高くなる上、日本に滞在するにしても『江戸川コナン』として海外に新一を連れていくにしても問題は出てくる。特に海外に新一を連れていく場合は戸籍もそうだが、パスポートが無いことから海外への渡航が少なくとも表向きには出来ない事の問題があるのである。

故に今はまだ伝えてはいないが、組織の壊滅及び体を戻すことが出来なければまた面倒になることになるから安室は微妙な気持ちになったのである。出来るならそんなことを一年後にしたくないという気持ちを持つ形で・・・









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