揺れぬ正義を持つ狼の目 前編

「・・・まぁ工藤新一もそうだが、隣の阿笠という人物もそうだが灰原とかいうお嬢さんに関してはそちらに任せる。特にお嬢さんに関しては工藤新一同様戸籍もない存在だから、色々と聞けば埃は出てくるだろう。工藤新一を始めとした様々な事に関して話していく必要はあるだろうがな」
「その辺りはこちらで対応しますし、阿笠さんに関しては年齢に体型から病院に入院したとすればしばらく姿を見せない理由としては十分になるでしょう。まぁ隣の家に戻せるような状態になるかどうかは別ですが、そこはいいでしょう・・・問題はやはり毛利さんにありますね・・・」
そんな二人の話題から新一と隣の家の二人に関してを任せると斎藤は当然のように言い、安室もまた当然といったように返していくが毛利の名を出した瞬間に難しいといった表情を浮かべた。
「言っておくが、今更それをしたくないで逃げることは出来ん上にそちらも首を縦に振ったことだ。反故にしたいというなら代替え案を出すんだな」
「いえ・・・話で決まったようにするのが正しいと認識はしていますし、どうあがいた所で毛利さんが不憫な結果になるのは目に見えていますからまだせめてマシな方にするべきだとは分かっていますので、決定を覆すつもりはありません・・・ですがそれでも毛利さんに待ち構えている未来は毛利さんにとって辛い道のりだろうと考えると、やはり気が重いんですよ・・・」
「ま、毛利小五郎自身が迂闊だった部分も大きいし、工藤新一にいいように転がされ過ぎてきたことには変わりないが、それでもそのまま放っては置けん。後々の事を考えて娘の毛利蘭と引き剥がした上で探偵からの引退及び、本人への事情説明はインターポール側はまだしも公安としては説明無しのままに放っておくことはいずれ望ましくない事態を起こしてしまうだろうから、俺はそうするようにと発案したんだ」
「・・・分かっています、それは・・・」
斎藤はそんな姿になど遠慮する事なく決まったことだろうと淡々と話していくのだが、理解しているとの言葉とは裏腹に安室の顔は一層深く曇っていった。






・・・新一とその周辺に関してを片付けていく事を話していくに辺り一番問題になったのは事情を知らされずに利用されていて、最早前のような単なる一探偵という立場には戻れないのは確定しているとしか言えない位置にいる小五郎だった。

そしてその話し合いの中で二人は小五郎に関してをどうするかという事を話したのだが、ここは交遊関係を持った安室が多少なりの私情が混じっていると自覚しながらもどうにかならないかと話し合った結果として・・・娘である蘭には秘密にする形で小五郎に新一に関してを内密に話した上で表向きは病気療養という形で保護する、というように決定したのである。

これは安室の気持ちが盛大に乗っている事は否定は出来ないが、それでも新一の後始末を考えるという意味で言うなら必要なことだと斎藤も理解をした上で賛同したのだ。何の対策もしないまま『江戸川コナン』が消えたなら、その後の小五郎に待ち受ける結末は新一達に話したようなことになるだろうことは想像に難くなく、ならいっそしばらく表舞台から出さないようにした上で事情を説明していこうと。

だが何でそんな回りくどく面倒な形にするのかと言えば、その娘である蘭に理由はあった・・・









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