揺れぬ正義を持つ狼の目 前編

「そこのところは俺としてはどうでもいいが、工藤新一に関しては公安に任せる。その代わりという形になるが、工藤夫妻に関してはこちらが担当するがな」
「・・・今となっては最早日本を主として生活していないからこそ、日本に送った時が面倒になるからですね」
「あぁ。今頃は他のインターポールによる訪問を受けているだろうが、表向きは二人を逮捕というわけにはいかんからな。だからこそ逮捕することもそうだが、日本に送るという訳にもいかんから以降の行動に関しては観察下に置くくらいで済ませるしかないが故だ」
「組織に関しては表沙汰に出来ないからこそそうするしかないというのはこちらとしてもスッキリしませんが、これは致し方ありませんからね・・・」
そんなFBIの事から話題を工藤夫妻についてに移行させる斎藤と安室だが、その中身は夫妻を捕らえる訳にはいかないという物であった。






・・・先の話の中でも出てきたが、工藤夫妻は現在この工藤邸に住んでおらず世界規模で活動する優作の小説家としての稼ぎによって、新一に生活費を渡す形にして二人は外国で悠々としながら生活していた。

そんな二人は度々新一に関してを手助けだったり用がある形で日本に戻ってきたりもしたが、新一のワガママが主な理由になる形で日本に帰ってくることなく外国で生活するスタンスを崩していなかった。そしてそんな暮らしと助けの形を取っているからこそ、新一と違って二人の事をどうするかというのが安室と斎藤達の間で議題になった。

確かに二人が新一達に協力していることは事実ではあるし、それが厄介であることもまた確かだ。だがそれで二人を捕らえてやったことを表沙汰にするのは組織に関してを一般には広めないようにというのが望まれることから出来ないのは確かではあるが、だからといってなら放っておくというのも優作の顔が広いことから赤井達もろとも外部から誰かの助けが入ってくる可能性は一気に高くなる上、赤井達に新一と協力するようにとなる流れが下手すると出来かねない・・・遺恨は水に流せと、堂々とでかい顔をされる形でだ。

故にこそ話し合った結果として、夫妻に関してはインターポールが誰にも助けを出せない内にあらゆる行動を影ながらの監視下に置くように制圧して強制させると決めたのである。普段の行動もそうであるし、出す手紙やメールに電話といった連絡手段のあらゆる全てを検閲して夫妻が新一達の助けを出せないよう、そして自身らの助けも出させないようにとする形でだ。

これらに関しては夫妻の立場、それも優作の立場があるからだ・・・何せ日本だけでなく外国の結構な数の出版社で作品が望まれている小説家であり、逮捕などという事になればどういうことだという騒ぎになるのは明白だった。理由は何なのかと聞かれること及び、その存在が逮捕されたというだけでセンセーショナルになるのは目に見えている形でである。

その為、インターポール側は公安が新一の身柄を預かっていて下手な動きをしたなら二人も含めてどうなるか分かるな?・・・というように言って行動を抑制するという流れにする予定なのである。

・・・これに関しては安室も斎藤も実際は二人もまとめて牢屋に入れたいという気持ちを持ってはいたが、何かやらない限りは却って逮捕が面倒になるからこその処置なのである。最も、何かやらかしたなら即座に行動を起こすように斎藤は言い含めてはいるがだ。









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