揺れぬ正義を持つ狼の目 前編

「・・・その辺りについて考えてなどいないのは安室から聞いたお前の印象もあって、俺は感じていた。そしてそれはお前の両親達についてもだ・・・そこはお前が今まで『江戸川コナン』として活動してきた時点で明らかな上に、自由にさせ過ぎたことからそう考えたが・・・だからこそ毛利小五郎からしたなら間違いなくお前が工藤新一に戻れたなら、その時点から不幸は始まる。お前が奴らを捕まえることが出来た上で元の体に戻れて幸せだと、両親を始めとしたお前の体の事実を祝福する一方で反比例するようにだ」
「そっ、それは・・・その時はその、俺の事実を話して・・・」
「今まで操り人形にしていたけれどごめん、とでも謝るか?それともお前の両親に頼んで金を握らせ転職をさせるなどして、不満を無理矢理にでも抑え込むように言いくるめようとでも考えているか?・・・これまで事実を隠してきたのに都合が悪くなるならそれを明かすというのは都合が良すぎるというようには思わんのか?今までお前の勝手で何も言わず操り人形にしてきたのに、それをまたお前の勝手で今度は口と不満を封じた物言えぬ人形にする形のは」
「なっ・・・なんで口と不満を封じるなんて言葉が出てくるんですか・・・!?」
そんな小五郎に待ち受ける悲惨な未来についてを言葉にしていく斎藤に打開案を何とか口にする新一だが、そこで返された更なる言葉に何故と心底から疑問に思った言葉を上げる。
「簡単に言うだけでも奴らの事を知る存在を増やすわけにはいかんからだ。というよりそもそも奴らが何故その存在が表沙汰にならんのかに関してくらい、それくらいは想像はつくだろう。様々に犯罪を起こしてきている筈の奴等に関して、誰も何も発表しないのかは」
「っ・・・それは奴らの組織がどんな規模か分からないのもそうだけど、それらが明かされたらどんな被害が出るか分からないから・・・」
「そこに付け加えるなら、奴らのしでかした事件であったりが表沙汰になるだけでも様々に問題になるからだ。水無はまだしもベルモットは世界的に有名な人物であることからどういうことだという混乱が起きるのは確かだろうが、何よりお前の体の事に関して明かされる事になったなら・・・確実にお前を小さくした薬やその作成者を求める者達が溢れかえるだろう。その薬を若返りの薬と見る形でだ」
「なっ・・・!?」
その理由は存在自体を知られるデメリットにあると告げる中で問い掛けを向けられた新一は戸惑いつつも答えるが、斎藤が告げた新一の体とその薬についてを告げられた時に絶句するしかなかった。






・・・新一が『江戸川コナン』として活動してきたというか、活動せざるを得なくなった理由は話に出てきた組織の人間の怪しい取引現場を目撃して、新規に開発した毒素の出ない毒薬の実験薬を飲まされ・・・実験薬であったからか、その薬で小学生低学年くらいの体にまで退行させられたからだ。

その事から組織を潰してその薬から解毒薬を作ってもらうために新一は今まで動いてきたのであるが、新一からすればその毒薬に関しては自分を小さくした物であって別にそれ以外に思うところなどなかった。むしろ何を思うところがあるのかと思っていたくらいだ。

しかしそれはあくまでも新一からしてみればの薬の価値であると、斎藤は告げた訳である。新一からすれば忌々しくはあろうとも、多数の者からすれば若返りの薬と見られる可能性があると・・・









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