揺れぬ正義を持つ狼の目 前編

「・・・君には色々と世話になったのもあるし一時期はむしろ頼りになるというように思った時もあった。しかしインターポール側からの情報と斎藤さんと話したおかげで、僕も君のやってきたこともそうだがその行動がそれこそワガママというか・・・君は奴等を捕まえて自分の体が戻ればそれで全て万事解決とでも勝手に思っているんだろうと感じた。そしてその為というか奴等を捕まえるための行動は許される物だと思っているだろうとも」
「そ・・・そんなことは・・・」
「じゃあ仮にこの場で君を見逃す条件として、赤井の死体として偽装させた死体の件を後で蘭さんを始めとした君の知り合いに話す事は必須にさせてもらうと言うなら・・・君はその条件を受け入れることもそうだが、蘭さん達に何の罪悪感もないばかりか当然だし妥当だろうといったよう振る舞えるかい?・・・探偵として悪を挫くと言った立場にいる君が、数多出会ってきた犯罪者とは違う正しい死体の使い方はこうだ・・・とね」
「っ!?」
そうして安室が丁寧に話を進めながらも段階を踏んだ話の最後に、新一はハッキリと顔を青ざめさせた・・・探偵として死体を使った、といった部分に。
「・・・成程。斎藤さんの言う通り、こういった言葉の方が君には聞くようだな」
「・・・どういうことだ?」
その様子に雰囲気を変えむしろ呆れたような声を漏らす安室に、赤井が理由についてを問い掛ける。
「俺はワガママなクソガキだとこいつの事を言っただろう。だが俺がワガママだと言ったのは自分がこうしたいからという気持ちを貫こうとするのもそうだが、その癖して人には良く見られたいという承認欲求が相当に強いと見たからだ。そしてそこに加えて・・・事件を解決するためなら何でも探偵である自分がやったことは正しいことであり、認められるといった自信があることもな」
「・・・認められる、だと?」
「代表的な事を言うなら道路で車以上の速度で走れるスケートボードで何度も走っているのに、おとがめも何も無しでいられたことだ。そのスケートボードに関しては少し調べれば分かったことだが、あれは個人や企業が所有する土地であったり公道でないならまだしも、それ以外の場所で走らせていいとは到底言えるような物ではなかった。普通ならあれに乗って道を走った者もそうだが、作成者も本来は逮捕されるべき案件だ」
「えっ・・・う、嘘だろ・・・!?」
斎藤はいかに新一がどう思われたいかに行動しているのか・・・そこについて口にした所で認められるとの言葉に赤井は疑問符をつけた声を漏らす中、新一がよく使うスケートボードについてを話していくと当の本人が衝撃に信じられらないと漏らした。
「お前以外の誰かあんなスケートボードで走っているのを見たことがあるのかというのもそうだが、そもそも公道を走れるのは原則としては車にバイクに自転車といった物くらいで免許を取れるだけの知性があると許可を得られた者が乗ってこそだ。そしてその自転車も原動機付き自転車も含めて基本的には道路の真ん中を通らず、端に寄って走るものであり車の間を抜けるように走るのも望まれる物でもない・・・だがそこをスケートボードで通る事もそうだが、何十キロ単位で走れるように改造したスケートボードで走ってもいいなんて誰が認めた?むしろ誰もが認めんだろう・・・それに乗るのが原付自転車の免許を取れる年齢にもなってない、見た目が小学生低学年程度の体のガキだということもあってだ」
「ぁっ・・・!」
そこでそもそもの公道の走り方や何なら走っていいのかもそうだが、改造されたスケートボードという物の異常性に加えて・・・体と免許についてを言われたことに新一は思わず小さく声を漏らした。









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