揺れぬ正義を持つ狼の目 前編

「・・・話を戻すが、そういったお前らの事から俺達が協力や情報を求めたとしても素直に受け入れるとは思えない・・・そう考えたからこそ、別の角度から行動しようと考えた。そこで出てきたのが、公安の方への協力の願い出という案だ」
「っ、何で公安に・・・?」
「いくつかあるが、最もな理由として言わせてもらうなら一番協力を仰ぎやすかったからだ。元々日本側にはインターポールが捜査する許可はもらってはいたが、それでも公安とは協力関係は結んでいなかったからこの件の事に関しての解決を出来ないかと持ち掛け・・・」
「公安はそれを受諾した、というわけさ」
「安室さん・・・」
斎藤はだからと公安に話をしたと言い、その話を途中で安室が引き継いだ事に新一は複雑そうな表情を向ける。
「君からしたなら僕というか公安はなんでこう判断したのかと言いたいかもしれないが、こちらとしてはインターポール側から協力をしてほしいと申し出られた事を門前払いする訳にもいかなかったのもあるが・・・持ってこられた話の中身が中身だった為に、公安としては断る方がおかしい物だったからインターポールに協力することになったんだ。特に君達の事を知ったからこそね」
「・・・俺達の事?」
「今こうして赤井が『沖矢昴』のマスクをひっぺがされている訳だが・・・インターポールからの情報をもらった事でそういうことかと理解出来たんだよ。あの時にここにいた『沖矢昴』は君の協力者である親の変装で、僕達に赤井秀一と『沖矢昴』の存在を=で繋げさせない上で捕まらせない為の芝居だったんだ・・・とね」
「っ!」
・・・安室は話を続けるのだが、そこで浮かばせた笑顔にたまらず新一はひきつったように息を呑んでしまった。改めて今の状況を考えてみたら、安室が自身らの策に気付いた可能性を考えてなかったのもそうだが・・・その笑顔に相当な圧力を感じた為に。






・・・安室の言った事が何かと言えば、然程昔とも言えない過去に安室が『沖矢昴』は赤井秀一が変装した人物であるのではと半ば確信しながらこの工藤家に確認しに来たのだ。だがその結果として『沖矢昴』と対峙していた時に別の場所で動いていた部下の電話から、赤井が現れたという連絡が入った上で本人でなければ出てこないような事を言われたことに目の前の『沖矢昴』は赤井ではないと結論を出さざるを得なかったのだ。

ただそうしてその時は引きはしたものの、安室は『沖矢昴』はやはり赤井の変装ではないかと疑ったまましばらく過ごして、たまに会った時には色々と当て擦ってきたりもしたのだが・・・斎藤側からもたらされた情報を受け取ったことにより、第三者の協力があればあの時の誤魔化しは出来たのだと見たのだ。そしてその協力者は斎藤側からの話でまず間違いなく、工藤新一の両親であるだろうと・・・






「・・・そうして斎藤さんから情報を受け取った僕達は、その事から協議をした上でインターポールと協力体制を取ろうという結論を出したのさ。その理由としてはFBIに君を野放しにするのは今さっきの斎藤さんからの話にもあったような理由もある上で、少なくとも君やFBIと協力しあうよりは断然にマシだという話になったからだ」
「そんな・・・何でだよ、安室さん・・・!?」
そこから自分達はインターポールとの協力及び新一や赤井達の排除を選んだと安室は言うが、新一は心底から何故と訴える。頭のいい安室なら自分達を組織との戦いから排除する不利益は分かるはずだし、自分達を残した方が色々いいという考えが浮かぶはずだと。









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