揺れぬ正義を持つ狼の目 前編

「・・・始めはテキーラの死についてを知った時、精々が毛利小五郎の元に同居している小学生低学年程度の子どもだという認識になっていた上で、事件の解決をしたのは毛利小五郎だという認識になっていたことで、『江戸川コナン』についてはたまたまだということにすらならずに現場に居合わせた子どもの一人で片付けられた。しかし次に組織の古株としてマークしていたピスコが死んだ事件の際、ジンとウォッカの姿を確認していたが・・・同時にお前の姿を確認したことに、インターポール側はどういうことだとなった。毛利小五郎は百歩譲って探偵だから何らかの依頼があってあの場に来たなら分かるが、その時のお前は毛利小五郎に連れられては来ていなかった・・・他にも子どもを連れてくるような事が望まれない場に敢えて来たのは何か、ということも考えればお前が怪しいと見るには十分な材料だった」
「子どもを連れてくるような場じゃないって・・・」
「あの場は芸能関係の者もいないではなかったが、芸能関係にしても子どもが来るような場ではなかった。そこに招かれたなら子どもを連れていくような選択肢を取るのはまず有り得ない上、お前と今隣の家で暮らしているお嬢ちゃんは誰が連れてきたものでも招待されたものではないというのも分かっている・・・なのに何故お前達がそこに来たのかもだが、その正体は一体なんなのか・・・そこにこちらは着目した、というわけだ」
「っ・・・!」
斎藤はそこからテキーラとピスコの件・・・特にピスコの事から外側から見たならどう見えたのかについてを話していき、新一はそれらについてを聞いて唖然とした表情を浮かばせた。そんな風に自分の行動は見られて考えられ、そして怪しまれたのだということに。






・・・ピスコの件に関して新一は組織に繋がる微かな希望を求め、かなり無理矢理に組織の一員を探るためにピスコのいた会場に入り込んだ。それこそピスコ以外に会場にいた組織に関係無い誰かの許可など求めることもなく、小さな体を利用して忍び込む形でだ。

そしてそんな風に忍び込んでいた際に誰にも見られることなく会場でいられたかと言えば、そこで起きた事件により呼ばれた警察の知り合い達を始めとして何人もの人々に見られていたのは確かである上・・・斎藤の言ったお嬢ちゃんに至っては、ピスコに拐われ場合によってはもう二度と手の届かない場に連れていかれかねなかったのだ。

そのお嬢ちゃんの事に関しては後の展開の事もあって完全に丸く収まったから問題ないだろうとスルーしていた新一だが、斎藤から外側から見れば怪しいと言える要素は大いに存在していると聞かされたようなものだったからこそ衝撃を受けたのだ。こんなに自分はヤバく見えるものだったのかと。






「・・・それでまぁ『江戸川コナン』についてを調べるわけだが、すぐに出て来たのはそんな名前の子どもなど戸籍を調べても何処にも存在しない・・・という物だった」
「なっ・・・何で戸籍を調べるなんて事を・・・!?」
「『江戸川コナン』の事もそうだが、その親についてを調べた方が早いと思ったからだ。本人も怪しいが、ならその親も怪しいということからな。と言っても江戸川という名字は少なくはあっても存在はしたが、『江戸川コナン』などという小学一年程度の変わった名前の子どもは存在はしていなかったし、ましてやその親なんぞ存在するはずもなかったが・・・まぁそこについては後にするが、そうして戸籍のない子どもだと認識したことにより色々とこちらも更に動くことにした・・・『江戸川コナン』の正体は何なのかということを知るためにもな」
だが更に斎藤は『江戸川コナン』が存在しない戸籍という動かぬ証拠を持ち出し、新一が何で戸籍に行き着いたのかと言葉を驚きに詰まらせながら聞く中で理由を返す中、だからこそ本腰を入れるといったように言った。正体不明の『江戸川コナン』の存在を明らかにすると。









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