揺れぬ正義を持つ狼の目 前編

・・・そのような形で斎藤と初めて話をした新一だが、ポアロで出会う以外に斎藤と出会うこともなく、そのポアロで会う時も会計をする間近であったり向こうから話し掛けてくることもなく、話し掛けたとしても微妙にカンに障るといったような返しをしてくる事に次第に話し掛けることは無くなっていった。安室からの言葉があってである以上に、斎藤の発言に嫌な気持ちになったからだ。一度目からそうだったが、妙にカンに障るような発言に我慢が出来なくなったのである。

その為に新一は斎藤を探ることも含めて交流することを止めたのだが、その傍らで事態が進んでいたことなどその時は知るよしもなかった・・・


















・・・斎藤を探ることに見切りをつけ、しばらくの時間をいつもの通りに過ごしていた新一。だがそうして過ごしていた新一の元に、ある報せが届いた。自分と同じ目的を持ち、共に身を伏せてその目的を為さんとするFBIの知り合い達が軒並み帰国せざるを得ない事態になったという報せが・・・






「・・・どういうことだよ、ジョディ先生!なんでアメリカに帰んなくちゃいけねーんだ!?」
「・・・その事について今から説明するわ」
・・・そうして場所は工藤邸のリビングにて、場には新一と知り合ったFBIの面々しかおらず沖矢昴という人物に変装はしたままだが、その正体は赤井秀一という人物も同席している。
そこでリビングに入ってきた新一はすぐに何故と捲し立て、声を向けられたジョディという金髪の眼鏡をかけた女性は赤井を除いて苦さを滲ませた表情を浮かばせる。
「・・・今日私達の元に電話が入ってきたの。相手はFBIの方でも上の立場にいる人物からなんだけれど・・・要約すれば私達の組織に関する捜査の仕方についてのクレームが公安からもそうだけど、インターポールから入ってきたとの事だったわ」
「こ、公安だけじゃなくインターポールまで!?ど、どういうことだよそれは!?」
だがジョディから出てきたまさかの事実に新一はすぐに驚愕せざるを得なかった。公安とインターポールという組み合わせもそうだが、公安は安室が実は本当に所属している場所でいて・・・そんな行動を取るはずがないだろうという言葉にはしない信頼をしていた為に。
「・・・坊やがそうなる気持ちは分からなくもない。だがその電話によればきっかけは公安からではなく、インターポールからだったとのことだ」
「インターポールから・・・?」
そんな様子に赤井が口調だけは元に戻しながら話を進めるその中身に、新一は眉を寄せる。
「・・・あの組織に関しては俺達FBIにCIAに公安といった所だけではなく、当然インターポールもマークしていた。そしてそのインターポールも当然捜査をしているだろうし、各国に捜査員を派遣もしているだろう・・・そんな中でインターポールは俺達FBIの捜査のやり方、いや正確には許可を得ない捜査を問題視したとのことだ」
「許可を得ないって・・・」
「・・・奴等を追うに辺り、俺達は日本の許可を取らずに捜査に取り組んでいた。とは言えそれは知ってて敢えて取らなかった・・・FBIからの申し出があったとなれば奴らの網に俺達の事が引っ掛かるかもしれないという懸念があったからだ。しかしそういった考えから動く俺達の動きを見付けたのは奴等ではなく、インターポールだったんだ・・・」
「っ・・・」
赤井はそんなインターポールもだが自身らの動きも併せた上で説明をしていくのだが、珍しくやってしまったといった声色の様子に新一も息を呑んだ。赤井のそんな様子など新一は見たことなかった為に。









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