自らの想う物と相手の考えることの隔たり

「同情っつーか、助けてやりてーって博士が少なからず思ってたのは分かるさ。けど新一もそうだし蘭も優作さん達も助けを求めるってんじゃなく、人を利用するって事を選んだ対価としてあぁなったんだ。そして博士もそれを分かったからこそ、何も助け船を出さなかったんだろ?」
「あぁ、そうじゃ・・・確かに四人に助け船を出したいという気持ちはあったが、それをやってしまってはエドもそうだし毛利君の気持ちを無視した選択をすることになると思ってのう・・・だからわしは何も言わず、ただその話を見届けるだけに留めたんじゃよ・・・」
「まぁその辺りに関しちゃ博士がそうしてくれたってことにはホッとしたよ。じゃなかったら博士との関係も見直すかどうか考えてただろうからな」
「・・・怖いことを言うが、実際それだけの事を新一達がしでかしたからエドもそう言うんじゃろうな・・・」
エドはそんな阿笠に対して話を続けていくのだが、あっさり言ってのけた言葉の中身に阿笠はまた複雑さを浮かばせる。自身が取った行動により新一達との関係性は途切れたが、目の前のエドには失望も関係の断絶もされなかったということに。


















・・・そうしてエド達は工藤家三人と蘭の四人と離れることになったというか、離れていった。散々エド達から言われたことから、小五郎に英理と話をした翌日にという形でである。

それからしばらくの間をエド達は平和に過ごしていった・・・阿笠はやはり新一達について心残りといった様子を見せていたり、時たま会う小五郎は蘭に対して表向きは見せなかった想いをエドに口にしたりすることはあってもだ。

ただそんな風に過ごしていたエド達であるが、四人が米花町に戻ってきたのである・・・新一が元の体に戻るというオマケ付きでだ。

しかしエド達はその事についてを追求することは以降も含めて一切しなかった・・・これは表沙汰にしたなら様々に面倒になると以前に話をしたこともあるが、戻ってきた新一達が内緒だといって切り出した話の中身に不快感を覚えて口にするなと止めたからだ。

と言っても新一の体が元に戻った経緯に不快感を覚えたのではなく、いかにも自分達が正しかったことや見直しをしろと言わんばかりの態度を見せられたことにだ・・・その時はエド達は強く願われ一同に会する形で集められて話をされた訳だが、そんな態度を見たことでエドは進んでいきそうになった話を途中で止めてもうそこから先は聞かないと言った。話の中身云々より、話を聞かせることで自分達を認めさせようとしているといった気持ちを感じ取ったからと。

そのエドの敵意のこもった言葉に四人が戸惑う中、小五郎と英理も同じように真剣に頷き返した上で自分達もそれ以上は話を聞く気はないと言い出したことで・・・話は終わりにならざるを得なくなってそれ以降はその話についてしたいと言い出されることはなくなり、エドに関しては完全に工藤家三人と蘭に対して無視を決め込む事にしたのだ。

ただ小五郎と英理は一応は蘭を全無視と言うわけにはいかないために会話を全くしないというわけではないが、それでももう以前のように蘭と気さくには会話を交わせるような関係ではなくなって、優作に有希子はまた日本から出ていったからまだしもにしても、新一に関してはもう完全に小五郎は話し掛けるどころか視線を向けることすら拒否をするようになったのである。たまたま顔を合わせた時でも、作為的に新一や蘭が動いた時でもだ。ただ唯一救いと呼べるような物と言えるかはさておきとして阿笠だけは一応は話し掛ければ答えてはくれるが、それでも答えてくれるだけであって親身にはならずに気まずげというようにという物である。

・・・結局の所、四人はエド達の予見したように自分達のやったことに関してを軽く見たまま帰ってきてしまった。新一が元の体に戻れたという喜びから、幾分か受かれただろうと見積もったのを差し引いてもだ。そしてその結果として、エド達の更なる不興を買ってしまった・・・人間関係において決して埋められない溝を造り出すという、浅はかさの対価というにはあまりにも大きな対価を払う形でだ。

しかしそれも元をただせば新一達の行動が原因なのである。そして以降も新一達からしたなら不本意な立場で過ごさざるを得ない・・・吐いた唾は呑み込めないというよう、支払った対価を代わりの物を払うから引き換えにしてくれと出来ない形でずっと・・・









END









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