自らの想う物と相手の考えることの隔たり

「・・・新一達に関わる気はねぇ、か・・・おいエド。俺もお前が言ったようにもう新一もそうだが、優作さん達と縁を切ることにするぞ」
「「「っ!?」」」
「お・・・お父、さん・・・!?」
だがそこで更に小五郎までもがエドの言葉と考えに同調するといったように真剣に口にすると、工藤家三人が絶句して蘭が涙を流しながらどうしてと言わんばかりの声と目を向けた。
「・・・いいのか、おっちゃん?そんなことを宣言しちまって・・・昔からの付き合いだろ、優作さん達とは?」
「付き合いがあることは確かだ・・・だが新一がうまく元に戻れたとしたって俺をあんな風に家族ぐるみで利用しようとしたことには変わりねーし、同じような事が起こりゃまた同じようになんて風に動くんじゃねーかとしか思えねぇ・・・そんな奴らとの交流なんかもう以降にしたくねーよ」
「いや、まだそっちの気持ちは分かるけど・・・蘭の事はいいのかよ?そんな風に言っちまってさ」
「うぅ・・・」
エドがそれでいいのかの確認を取ると小五郎は一切工藤家側に対して譲るつもりはないと返すが、蘭はどうなのかと涙目を浮かべるその様子を見ながらエドは更なる確認を向ける。
「・・・蘭に関しちゃ正直複雑じゃある。だがそれでもまだ新一に関わりてぇってんなら、もう俺は止める気はねぇ。ただ新一をうちで引き受けろだとか俺を無理矢理にでも頷かせるみたいなことを言うとかしようとか、英理に泣き付くとかあいつを利用しようってんならそれを許すつもりはねぇ・・・ここで新一の事を諦めるってんならまだうちに置きはするが、諦めきれないってんなら英理も交えて話をする。俺はもううちには置かねぇから英理が頷くんなら英理の所か頷かなかったんなら・・・そっちの三人の所に行けって言うようにな」
「「「「っ!?」」」」
しかしそこで蘭への気持ちさを捨てきれないと言ったような様子はあるが、もしもの最悪の場合・・・蘭を見捨てると言ったように迷わず口にしたことに、四人は愕然とした表情を浮かべるしかなかった。蘭の事を言葉にせずとも大事にしてきた小五郎が、迷いは見せずにそう口にした事実に。
「・・・優作さん達が俺を新一の為に使おうとしたのもそうだが蘭、お前が俺を使うことを提案して意気揚々としたのも事実だ。それなのに今度は自分らの番になったらふざけんなと文句を言う資格があるとでも思ってんのか?あぁ?」
「「「「っ・・・!」」」」
だが続けられた異様な程の迫力の込められた言葉と怒りを滲ませた表情に、否応なしに四人は息を呑むしかなかった・・・それだけ小五郎は本気で言っている事であり、四人とは比較にならない程に怒りを持っているのだと。
「・・・おっちゃんの気持ちは分かったよ。ただ流石に今この場で蘭にどうするのかを聞いた所で冷静になれねーってのは俺から見たら確実だろうから、今日はこれまでにしといてやったらどうだ?まぁ蘭と今日肩を並べて一緒に帰るってのは難しいだろうから、蘭は隣の工藤邸にでも泊まってもらう形でよ」
「・・・そうだな。まぁ俺もちょっとは落ち着きてーとこだし、今日の所はこのくらいにして明日またにするか・・・ただ一応英理にはどのみちこの後すぐに連絡はさせてもらうがな。新一に起きたことに関しちゃ言いはしねーがもしもの時は会いに行くって約束しとかねーとあいつも忙しいだろうし、何より先手を打たれてあいつを都合よく抱き込まれちまうなんて展開にされるのは避けてーからな」
「「「「っ・・・」」」」
そこでエドが見かねて・・・というわけではなく区切りの意味で今日はここまでにと口にしたことに小五郎もエドの言葉だからと圧を下げて頷くが、すかさず牽制を兼ねて英理に対する行動を漏らしたことに四人は戦慄して体を震わせた・・・普段のだらしないオッサンぶりが嘘かのように油断なく、それでいて別居していて意地を張っている筈の妻へ躊躇うことなく行動すると言う小五郎の本気さに。









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