自らの想う物と相手の考えることの隔たり

「・・・ろくな答えが返ってくる様子もなし、か。まぁそりゃそうだよな。あんたらは新一のやりたいことを優先するばっかで、その新一もおっちゃんを使うことを平気で最善策だって賛成したんだからよ」
「「「っ・・・」」」
そんな二人の様子に冷やかさを増したエドの言葉が更に口にされるが、新一も含めてただ苦々しいといったような息を呑む様子しか優作達の反応はなかった・・・実際エドの言葉は正しく、小五郎の事など一切考えないままに行動したのは事実だった為にだ。
「・・・もういい。新一の事に関しちゃマスコミとか誰にも言わないように黙っといておくから、俺はあんたらの事から身を引く。だからもう俺には関わんねーでくれ。新一が元の姿に戻れたとしてもだ」
「「「っ!?」」」
「おっ、おいエド!?い、今の言葉はどういうことじゃ!?」
エドはその様子にタメ息を吐くようにしながら冷たい口調で突き放すよう関係の拒否を口にし、工藤家三人が驚愕する中で阿笠がいきなりの発言に驚きながら何故と問い質す。
「どういうことも何もねーよ。一応俺としちゃ最初はあんなことは言ったけど、初めから絶対に全く協力しないとかってつもりはなかったんだよ。知り合いがこんなことになったし、事情を知っちまったから出来る範囲で行動するのはまぁ仕方ねーかとか話し合いの方向性によっちゃサポートをするのもやむ無しってくらいにはな・・・けどよ。流石におっちゃんに対しての態度やら発言を見て、そんな気なんか無くなっちまったとかそんな話ですらなくなったからこう言わせてもらった・・・今のように人を平気で騙して使えちまうような奴らとなんか、もう仲良くしたいなんて思えなくなったんだよ」
「エ、エド・・・」
「なぁ新一・・・俺はお前の立場とか気持ちってヤツは分からないとは言わねーよ。けど優作さん達も優作さん達だけど、お前はお前でまた十分タチがわりぃんだよ。優作さん達の手は借りたくないけど、おっちゃんは自分の都合の為に騙したまま利用しようとした・・・それがどれだけおっちゃんに対して不誠実かってこともそうだし、場合によっちゃ俺や博士でも自分の都合の為に利用して使おうとしてたんじゃねーかとも俺は考えた・・・お前が思うような展開にするために、自分の都合のいい考えで俺や博士の意思を無視するか後で事後承諾させるとかってな」
「そ、そんなこと・・・」
「無いなんて言えねーよな?蘭から言われたっつってもおっちゃんの事を利用するって即座に考えて実行しようとしてたんだからよ」
「っ・・・!」
・・・そこからエドは自身の気持ちをどんどんと口にして行くのだが、留まることを知らないどころか段々と圧が増していくその話の中身に新一は押されっぱなしで冷や汗を浮かべながら圧されるしかなかった。エドの言葉を強く否定出来るような要素がなかったのもあってだ。






・・・話は戻るが同族嫌悪と言ったように新一の事を思いはしても、エドは自分達は新一とはまるっきりとは言わずとも違うとは思っている。前世において人には言えない秘密を抱えた際に出来る限り話をする者達を選んできた。それは知った秘密の膨大さから明かしてはいけないと思ったのもあるが、出来る限り自分達の為に人を巻き込みたくないという気持ちからだ。

まぁそれでもふとしたことから誰かを巻き込んだというか関わってくることはしばしばあったが、それでも何も言わずに誰かを利用したことなどないとは思っている・・・だが新一は真逆な事をことごとくやっていこうとした。嬉々として、自分の為にだ。

同情出来る部分はあるし、同族としての気持ちは分からないでもないが・・・自分達と環境は違うと言っても、優作達とはまた別にして新一の事が嫌いだという何よりの部分なのだ。さも自分は正義の味方の探偵であるというように言いつつも、その実は自分がこうやりたいしこう見られたいという自己コーディネートの押し付けをしてくる所が。









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